ビジネスアナリスト研修に関する補足説明のコーナーです。

  本ブログでは、東京海上日動システムズ社でのビジネスアナリストへのOJTの様子を紹介します。まず、ビジネスアナリストには、BAに必要なスキル項目で説明したように、①ビジネスアナリシス、②適用分野の業務、③コミュニケーションなど一般的マネジメント、この3つが必要になります。

  同社では、当時、入社4年目のSEが7カ月(年末・年始を挟んだため実質6カ月)で、これらのスキル項目をOJTしながらビジネスアナリシスのWBSを実施して、次の4カ月はこのためのITシステムの開発を行いました。彼らはシステム開発の仕事もしながらで、ビジネスアナリシスに費やした工数は1/2程度でした。

1.週の前半の2日間(合計、7時間程度)

(1)前週の成果物のレビューと修正

(2)今週に実施するWBSの説明(〇の番号は3つのスキルに対応)

ビジネスアナリシスのWBS、アクティビティ、技法・ツール・事例などの説明

  本来のビジネスアナリシスのフェーズでは、ここが中心となります。今週実施するWBS・アクティビティの目的、インプットやアウトプットの様式、使用する技法・ツールなど、事例を使って私から説明しました。当然、戦略分析、業務課題の抽出、レベル2プロセスの分析・設計、レベル3プロセスの分析・設計など、20個前後の多様なWBSを実施しなければなりません。若手SEなので、全くここの知識・経験がありませんでしたが、かえって白紙だったので、プラクティスであるGUTSY-4をすっと吸収していきました。彼らの感想では、多くのアウトプット例があったことが心強かったとのことです。

適用分野の業務プロセスや用語の説明

  現状の業務プロセスの見える化のフェーズでは、ここが中心となります。業務参照モデルを利用しながら、マーケティング、人的販売、見積・契約・回収、顧客サービスに関する業務プロセスのプロセスフロー、業務プロセス詳細定義、関連する用語などを、私から説明しました。若手SEなので、当然、ほとんど業務に関する知識・スキルは持ち合わせておらず、彼らの感想では、この見える化フェーズが最も辛かったとのこと。しかし、ここを先に実施して対象業務を理解できたことが、この後のビジネスアナリシスのフェーズにおいて大いに役立ちました。業務を理解していないと、そもそもユーザと会話ができないので。

2.週の後半の1日間

(1)ユーザ保険代理店とのワークショップ

ビジネスアナリシスのWBSの実施

  今週のWBSの責任者となったSEが、ユーザとのワークショップをリードしてWBSを実施しました。実際は、システム開発の仕事の関係の事情で、突然の当日欠席もあり、他のSEがリードすることも何回かありましたが、スムーズに。若手SEが初めてのビジネスアナリシスに必死に取り組んで、実際にWBSが進行して成果物が出来上がって行くことで、ユーザも次第に彼らを信頼するようになりました。

  ここでの、私の役割は、ただ居るだけで、ほんど発言しないこと。SEが不安で私の方を見た時はそっぽを向くようにしました。ユーザとSEに安心感を与えるために居るだけで、席上で彼らの進め方に口をはさんだことはありません。一度、口をはさめば、ユーザも私を見るようになってしまうからです。しかし、質問インタビューが大きく時間を超過して一部が次回に持ち越しになった時は、帰り道にしょげている彼らに追い打ちをかけて、きつく注意しました。もし、営業マンならば、お客からもう来ないでくれと言われると。

一般的マネジメントスキル

  コミュニケーションでは、質問する、聞く(アクティブリスニング)、書く、話す・プレゼンは若手SEでもそこそこできましたが、一番、「沈黙」がむずかしかったのこと。これは事前に説明したのですが、いざ本番になると自分の不安な心から、相手が口を開くのを待てません。また、ファシリテーションは一般的にはむずかしいのですが、GUTSY-4では、業務参照モデル、図形ツールやアウトプットをスクリーンに映し出すことで、かなりカバーできるようになっています。

(2)ワークショップでの成果物の整理と添削

  SE達が分担した成果物を共有サイトに次々にアップしてきます。私は土日にそれを見て添削を終わらせてなければならないのでクタクタになりました。添削は日本語記述の整理が中心。ユーザのランダムな発言を「簡潔化、集約化、一般化、汎用化」して、意味を変えずに整理して成果物を作成しないと、これを次の成果物に引き継いでしまって、ランダムに汚れてしまうからです。あー、若いSEはこういうことが苦手なんだと分かり、この日本語記述の整理はGUTSY-4の技法に組み入れました。

ネットでは伝わりにくいことは、翌週前半に実際に会って、前述の1(1)でフォロー。

3.感想

  こうして、ビジネスアナリシスOJTプロジェクトは予定どうり完了しました。まさに、毎週、前半で理論を学び、後半で実践という、米国のメソッドである「Learning by Doing」を行った訳です。若手SEの感想は、事例紹介の方に掲げてあります。ユーザとの最終報告会では、若手SE達は涙を流しながら報告していました。私としても40歳も若い彼らと一緒に仕事でき、彼らの大きな可能性を直接に感じることができたのは人生の大きな思い出です。私の感想は「若手SEでもビジネスアナリストに成れる!」。この詳細は別途、述べることにします。

  若手SEが作成した成果物名称   事例2-1:ビジネスアナリシス成果物.jpg

  Excelの場合は、一つのファイルに多数のシートが含まれています。

 

 

 

 

 

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