ビジネスアナリスト研修に関する補足説明のコーナーです。

SEがビジネスアナリストになるためには、論理思考力は十分に保持していますので、次に重要なのはファシリテーションです。そして適用業務への経験・知識は業務参照モデルでカバーできます。

では、SEがビジネスアナリストになるためには、どのような育成のステップがあるかを下記の5つのステップにまとめてみました。 東京海上日動システムズ社の若手SEのビジネスアナリストOJTでは、下記1-4のステップまでを実施しました。

「ヒアリング」中心の上流SEの経験がいくらあっても、超上流はできません。しかし、若手SEであっても、ビジネスアナリシス方法論GUTSY-4に沿って「質問」していけばできるのです。

1.プロセスモデリングへの守備範囲の拡大

SEが取り扱うのは、ITを利用するビジネスプロセスですが、この前後に多数のITを利用しない人間系プロセスが存在します。SEがこの全体をプロセスモデリングするのです。すなわち、BABOKでいう「ソリューション要求(非IT)を定義します。このステップでは、ビジネスプロセスの「見える化」を担当できます。

SEが経験のない業務分野について現状のプロセスモデリング(抽象化)をすることは、そんなに難しくはありません。業務参照モデルを利用すれば、東京海上日動システムズ社のように、25歳の若者でもできるのです。大事なことは質問する勇気。妨害となるのは、かなりの業務経験が必要だという、今までの既成概念です。いくら経験しても、毎日、業務を遂行しているユーザを上回るなんてことはあり得ません。

ブログ記事:モデリングとは何か、そしてなぜメタモデルが重要か

 2.ビジネスプロセスからIT要求の引き出し

IT要求を従来のようにはヒアリングに頼ると、金メッキ要求、保険的要求、願望など結局は使われない要求が多く出てきてしまいます。IT要求は、業務としてのビジネスプロセスから引き出します。すなわち、BABOKでいう「ソリューション要求(IT)を定義します。このステップでは、上流SEとしてシステム分析の前半「要求分析」を、または超上流の「要求定義」そのものを担当できます。すなわち、ジュニアレベルのビジネスアナリストとして活動できます。

IT要求開発のためには、まず、現状プロセスについて業務参照モデルを使って質問する、すなわちファシリテーションによってユーザからIT要求を引き出して、もれなく正確に記述することです。もちろん、現状ではなくて、プロセス改革後のプロセスの方がIT要求の発生源としてはさらに良いのですが。

プロセスモデリングによって明確になったビジネスプロセスをもとに、質問によってIT要求を引き出すのは、業務観察法に近いIT要求開発の考え方です。また、質問項目は、ビジネスプロセスから60個を生成できるので、むずかしくはありません。

ブログ記事:ITへの要求をどうやって引き出すか、IT要求開発するか

3.意思決定系プロセスでのIT利用

日本におけるBPMの事例は、なぜか付加価値が出しにくい作業系プロセスを対象としたものが多い。しかし、アウトソーシングやBPOをすれば、作業系プロセスのコストは下がります。こういうプロセスに対して、果たしてBPMが必要かどうかは疑問が残ります。

一方、商品企画、顧客とのコンタクト、工場操業など、企業として極めて重要な業務ノウハウが、属人的でブラックボックスなままに置かれています。意思決定系プロセスにおける、たとえば顧客プロファイル情報などは、従来は全くIT利用の対象とされなかったものです。これらのノウハウを企業全体で「見える化」して、IT利用によって共有し、かつ定着させ、そして成長させる。これはITの力なくしては全く不可能です。

しかし、業務ノウハウを整理・形式知化するためには、そのためのフレームワークを見つけ出さなければなりません。その意味で、意思決定系業務のビジネスアナリシスは、下流にくればくるほどむずかしくなる場合があります。一方、作業系業務のビジネスアナリシスは、上流から下流にくるにつれ次第に簡単になってきます。

ブログ記事:IT導入の目的「自動化と情報化」とは、どちらの方が効果が大きいか

 . 戦略からビジネス要求の定義

戦略から戦術のレベル2、そして業務プロセスのレベル3、それぞれへの構造化は下記ブログにて述べました。すなわち、BABOKでいう「ビジネス要求」「ステークホルダ要求を定義します。このステップでは、ミドルレベルのビジネスアナリストとして活動できます。

ビジネス要求やステークホルダ要求は戦略からの業務プロセス、業務ルール、人や組織、そしてITシステムに対する要求となります。そして、これらビジネス要求の区分間の「整合性」が最も重要となります。単にITだけに注目してこれらの要求を定義するとその効果は半減以下になってしまいます。SEは元来、こうした構造化や整合性などの論理思考は得意な筈です。ただ、ビジネスアナリシスの場合のやり方が分からないだけです。

ブログ記事:構造化とは何か、戦略をビジネスプロセスに構造化する方法は?

 5.三位一体のビジネスアナリシス

IT投資効果は、業務プロセス改革や組織改革、そして、人への教育、そしてITシステム、この三位一体の改革によって、圧倒的に向上させられます。GUTSY-4では、業務プロセスを中心に業務ルールも含めて、これに必要な組織や人的能力のモデリングを行って、組織改革、人の能力開発計画を明らかにできます。この辺から、SEは従来にないスキルを要求されてきます。

ブログ記事:もう少しお待ちください 

 以上のように、、ビジネスアナリシスにおいて重要なモデリング(抽象化)、構造化、論理思考は、SEがITシステム開発において、毎日、実行している事項です。それを、ITだけの対象分野からビジネス全体に拡張するのです。SEはこれをできます。

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリ