先のブログ「⑤D.標準ITシステム機能 を追加 ⇒目的はIT開発トラブル防止」を少し、補足します。

  対象は、調達、製造、受注出荷、返品の業務です。そして、これら実行プロセスを支援・促進するためのEnableプロセスを含みます。実行プロセスは業務フローとかで描かれますが、Enableプロセスは在庫管理以外は何も資料が無いことも多く見逃されやすいリスクがあります。

1.対象業務の違い

  購買業務は、決められた価格で発注し、その入庫、試験検査を経て、サプライヤからの請求書で支払うというものです。しかし、調達業務では、サプライヤの選定、価格交渉、その評価などを含みます。たとえば、大手メーカーの調達には特有の業務が多くあり、購買だと思って取り掛かるとトンデモンナイことになります。

  販売業務と受注・出荷業務とはどう違うのでしょうか。ざっくり言えば、後者には物流や倉庫の業務があるということです。見積業務はどうでしょうか? 単価改定は?基準在庫は?

2.Enableプロセス

  実行プロセスを支援・促進するためのEnableプロセスは、余り意識されていない事が多いです。元々、Enableは企業の成熟度によって、整備の状況がかなり異なっています。10種類のうちの3種類だけを下記に示すと

  02 パフォーマンス測定・評価・改善、すなわちKPIの目標値の設定や実績値の取得

  07 サプライヤ・顧客・代理店などの情報、品目情報、取引先別品目価格

  10 契約条件や詳細、ボリューム値引等の管理

3.標準ITシステム機能

  Enableプロセスを含み、調達では76個、製造では83個、受注・出荷ではETO品も含めた134個のプロセスごとに、標準的なITシステム機能をリストUPしました。

  〇重要  どの企業でも必要とされる重要な機能

  △参考  場合によっては要求される機能

  *インタフェース相当  ワークフロー、EDIや他システムとのインタフェース機能

  IT企業はこの業務やプロセスならば、こういうITシステム機能が要求されるのではという仮説を持たねばなりません。その最初のヤマ場は、受注直後のシステム分析の前半の要求分析。この段階では未だ交渉可能だからです。増額が難しければ、重要でない機能を除外してもらえば良い。

4.テスト段階での機能モレ追加は20倍の開発コスト

  若手業務担当者からのIT要求がモレた状態で設計・開発しテストを迎えます。そして、ベテラン業務担当者が現れて、このITシステム機能がなければ業務が回らない、テストもできないと言われます。

  ここでのIT企業側は、泣く泣く追加分を無償開発するか、うまく価格交渉できれば増額を得ます。しかし、IT企業は要求分析で抽出した場合の20倍のコスト増となります。例えば1億円の増額は、ユーザ企業に取っては500万円の価値しかありません。

  ユーザ企業にとっては、TVコマーシャルのように「早く言ってよ」のように、「あなた達はプロでしょ」と言いたくなるでしょう。IT企業が追加開発料を得ても、ユーザ企業にとって価値はその1/20だけ。半額に値引されても感謝できない。