BPM(ビジネスプロセスマネジメント)について

  ビジネスアナリシスやプロセスに関するブログを沢山、個別に書きましたが、ここで総まとめをしてみたいと思います。 階層化アプローチなど、ここでの総まとめに入っていないものは、またの機会にまとめます。★★は、ぜひ読んで頂きたく思います。ただし、超上流の場合には、★★だけでも構いません。

 

1.ビジネスアナリシスとは何か、ビジネスへの効果は?

  まず、ビジネスアナリシスはIT導入のためだけに行うのではありません。ビジネスプロセスや組織の改革など、ITが絡まない場合も多くあります。それから、「アナリシス」だから分析するだけだと、勘違いしている人には驚きました。では、証券アナリストは「分析」だけするのでしょうか? 

  ビジネスアナリシスによるビジネスへの効果 ⇒ブログ記事:★★GUTSY-4では

 

2.ビジネスプロセス(以下、プロセスと省略)とは何か? 

  SEの方は、IT化できる、IT化しやすいプロセスを対象として、今までそのためのITシステムを開発してきました。しかし、IT化されていないプロセスが全体の80-90%も存在しています。

  ビジネスプロセスは、ワークフロー的、知識調整的な立場によってそれぞれ定義が異なります。前者は定型的な作業系プロセス、後者は非定型的な意思決定系プロセスのことを言っています。私自身は、インプットからアウトプットを生成するのが、全てプロセスだと定義しています。

  詳細⇒ブログ記事:★★ビジネスプロセスとは何か、その種類と特徴は?

  さらに、ビジネスプロセスには、定常的に実施されるものと、アドホックに実施されるものがあります。後者は、通常、プロジェクトWBSと呼ばれています。

 3.ビジネスルールとは何か?

  これを内部統制のように厳守しなければならない規則だけだと理解している人も多い。プラクティス(形式知化されたノウハウ)もビジネスルールの一つです。⇒ブログ記事:ビジネスルールとは何か、その特徴と種類は?

 

4.プロセス志向とは?

  これは、ISO、米国MB賞、業務基盤の最適化(経済産業省)、「見える化」で言われています。プロセス志向とは、ビジネスプロセス(機能)を中心に業務やマネジメントの仕組みを設計して実行することです。プロセスによって、成果が繰返し可能な仕組みになるのです。プロセスによらなければ、成果が上がっても、それはただの「まぐれ」に過ぎません。プロセスやルールは仕事の正しいフォームともいえます。

  詳細⇒ブログ記事:★★プロセス志向とは、なぜプロセス志向が重要か

 5.BPM(Business Process Management)とは?

  BPMは、経営目標を達成するために、業務プロセスの可視化と設計・開発(Plan)、実行(Do)、モニタリング(Check)、改善・再構築(Action)により、業務プロセスを構築する経営手法だとされています。BPMでは、最初にプロセスに対する経営目標を明確にしなければなりません。やはり、シックスシグマでもDMAICとして、重要な問題の特定・定義(Define)がまず先にきます。

  一部BPM関係者が言うように可視化が先でも、BPMツールベンダーが言うようにITツール導入が先でもありません。彼らに踊らされないようにしましょう。

  業務参照モデルを利用すれば、BPMの品質と生産性は倍以上に向上します。だから日産自動車では、5年間をかけて自社の参照モデル(レベル1~4)を開発したのです。

  ⇒ブログ記事:業務参照モデルを利用したプロセス記述のイメージ  

 6.ビジネスプロセスは階層化している?

  ノーベル賞を受賞したH.A.サイモンは、すべての人工物には階層性があるとのべています。従って、会社組織と同様に、ビジネスプロセスも階層化しています。詳細⇒ブログ記事:階層構造、階層性とは何か

  私は、レベル0の事業戦略から、レベル5の実行レベル、レベル6の部品レベルまでにプロセスを階層化しています。これは、グローバルなプロセス参照モデルSCORから学びました。詳細⇒ブログ記事:プロセス参照モデルとは 

  これは、問題・課題もビジネスプロセスと同様です。階層レベルが異なる問題・課題の因果関係は弱いからです。⇒ブログ記事:問題・課題にも階層性がある!

  これは米国でも同様です。⇒ブログ記事:米国におけるプロセス階層レベルの考え方 

  ここでは、レベル3・4をProcess Levelと呼んでいますから、BPMはこのレベルを踏むべきです。そして、その下のレベル5・6をImplementation Levelと呼んでいますが、このレベルからBPMを開始してしまえば、まさに「枝を見て木を見ず」となってしまいます。まして、経営、業務、ITという階層区分は余りにも、余りにも感覚的です。

 

7.BPMはどの階層レベルで実施するのか? 

  このように、戦略から実行レベルのプロセスまでは、厳密に5階層もあるのです。従って、プロセスフローも階層別に目的が異なります。⇒ブログ記事:プロセス階層レベル別のプロセスフローの種類と使い分け

  階級社会ではなくフラットな社会を生きてきた日本人にとって、そもそもプロセス階層レベルは厄介な概念です。⇒ブログ記事:プロセス粒度とは、プロセス階層レベルとは、これを正しく設定するには?

  したがって、ビジネスプロセスに対する戦略面からの要求(ビジネス要求やステークホルダ要求)を明確にするのはそう簡単ではありません。私は、上位機能を下位に分解(構造化)を順に繰り返していく階層化アプローチによって、「プロセスに対する要求」を定義しようと、10年間かけて方法論GUTSY-4と業務参照モデルを開発しました。シックスシグマでは、管理者がこれを定義(Define)するとしていますが。

  戦略をレベル2まで構造化⇒ブログ記事:構造化とは何か、戦略をビジネスプロセスに構造化する方法は?

8.可視化などのビジネスプロセスモデリングはどのようにしたらよいのか?

  第一に重要なのは、どのプロセス階層レベルでプロセスを可視化するかです。これは可視化の目的によって異なります。目的を明確にせずに、一企業内で数万のプロセス数があるレベル5を調査・記述するのは「労多くして功少なし」です。

  第二に、作成すべき要素成果物ですが、よく業務フローを中心に考えますが、これは定型的な作業系プロセスの場合にしか通用しません。実は、プロセスフローの他に、個別プロセス詳細記述書、インプット・アウトプット説明書、業務ルール説明書という要素成果物が必要になります。四日市のコンビナート爆発事故では、作業手順書しかなかったと報道されていますが、手順や業務フローだけでは全くダメです。

  特に、個別プロセス詳細を正確に記述するためには、どのような様式で記述すれば良いのでしょうか? 最終的に落ち着くのに10年かかりました。

    ⇒ブログ記事:プロセス構成要素  プロセス構成要素の意義は「業務観察法」  

  GUTSY-4では内蔵する業務参照モデルを利用したプロセスモデリングによって、階層レベルと要素成果物という品質、そして生産性、この両方の課題を解決しました。

9.プロセスの標準化とは?

  作業系プロセスでは、標準化によって100%同一になりますが、意思決定系プロセスでは、プロセスに企業内外のベストプラクティスを導入して、その何割かを標準化することであり、全てを画一化することではありません(そもそも無理)。

  企業内には、営業や商品企画・開発など多くの重要な意思決定プロセスが存在します。これらは、そもそもビジネスプロセスだと捉えられておらず、BPM対象とならずに放置されています。いくら作業系プロセスをBPMしても効果は微々たるものでしかありません。

  詳細⇒ブログ記事:プロセスの標準化への誤解、2種類の標準化とその効果

 10.BPMの効果は?

  事例Aの今野製作所では、意思決定系である営業系と製品開発・設計系のプロセスに対してのBPM、および顧客要求を引き出すためのベストプラクティスの標準化を行って、ETO品の受注を約2倍にしました(現在は、同一人員で8倍)。

  事例⇒事例A①紹介:株式会社今野製作所 様

  また、同社では、2回の全社にわたるBPMによって、全社的視点を持ったマネジャーが育って、2名が役員として登用されました。もし、経営トップが幹部に「全社的視点を持て」なんて発言をするならば、まず本人がそれを保持していないと言っていいでしょう。そんなに簡単ではないからです。

  しかし、(レベル5から始めるのではない)BPMは、業務全体をプロセスすなわち機能でとらえるため、企業後継者や幹部にとって、全社的視点の実践教育の格好の場となるのです。

  事例⇒事例A②成果:トップダウンとボトムアップの各々の課題、両者の融合の成果

 11. これからどのようなビジネスプロセスが重要になるか?

  事例Aは、意思決定系である営業系と製品開発・設計系プロセス、特に「顧客要求を引き出す」プロセスにフォーカスした結果です。今まで、BPMやITでは、作業系プロセスばかりを対象としてきましたのと、全く逆です。

  詳細⇒ブログ記事:★★重要な意思決定業務が「見える化」されず、IT利用から取り残されている

  これからは事例Aのように、売上を伸ばすための意思決定系プロセスが重要となります。これが「攻めのIT」の対象業務となります。

  詳細⇒ブログ記事:意思決定プロセスの調査・記述の技法を確立! 

以上

 

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