ビジネスアナリシスやIT要求に関するブログを沢山、個別に書きましたが、ここで総まとめをしてみたいと思います。★★は、ぜひ読んで頂きたく思います。ただし、超上流だけの場合には、★★だけでも構いません。

1.IT要求定義における本質的な問題点は何か

  問題点として、定義された64%のITシステム機能が、全く、あるいは、ほとんど利用されていないということがあります。これは、海外での統計数字ですが、日本でもほぼ同じだと思われます。

  そして、日本では、「非明示的な管理方式」によって業務が引き継ぎされたきたため、ユーザ自身が自らの業務を理解していないということがあります。そんな環境の中で、ユーザにIT要求を言ってもらう=ヒアリングすれば、その結果は自ずと明らかです。⇒ブログ記事:IT要求定義における本質的な問題点は何か 

  このIT要求に関する問題はビジネスアナリシスによって解決できます。ビジネスアナリシスによるITへの効果 ⇒ブログ記事:★★GUTSY-4では

  IT要求をヒアリングするIT企業は中小企業よりもレベルが低いことになります。 

  ⇒ブログ記事:中小製造業の事例Aでの要求の引き出し方  

 

2.IT導入の2つの目的、「自動化と情報化」

  IT導入の効果には、自動化と情報化の2種類があります。自動化の効果は、作業系プロセスに対する「効率化」とか「省力化」と呼ばれて、その目的の多くはコスト削減です。一方、情報化の効果は、意思決定系プロセスに対する「効果的」と呼ばれるもので、その目的は戦略の実現や売上増加です。⇒ブログ記事:★★IT導入の目的「自動化と情報化」 

  海外生産とかサプライチェーンが海外に移転して行く中で、日本企業の中には、もはや大きく効率化できる業務は、そんなには残っていないでしょう。これからは、情報化が中心となります。そして、それを実現するためのITソリューションも揃ってきました。

3.ビジネスアナリストがいない

  今まで、IT導入の目的は「効率化」が追究されてきました。ITの利用部門が「オーナー部門」としてIT要求を取りまとめる際に、ビジネスアナリストが不在だと、「自動化」の要求だけを取りまとめてしまいます。

  篠崎彰彦教授[九州大学]が、経済産業省3,141社調査データを分析した結果、「IT投資効果が最大限に発揮されるのは、組織・プロセス改革と人的対応の両方にしっかり取り組んだ場合 」という論文(2007)が発表されています。ITだけでなく、ビジネスプロセスやルール、組織、人の教育など全体についての合性に取り組むのがビジネスアナリストです。

  ビジネスアナリストが不在だとIT投資効果も上がりません。これを外部依存するのは、付加価値の高い部分を外注することで、本末転倒です。

 

4.ITへのビジネス要求、ユーザ要求、ソフトウェア要求(システム要件)の違い

  この3つは互いに、目的と手段の関係があります。ユーザ要求(What)は、ビジネス要求(Why)という目的を達成するための手段です。そして、ソフトウェア要求(システム要件)は、ユーザ要求(Why)という目的を達成するための手段(What)となります(出典: Karl E. Wiegers著「ソフトウェア要求」)。 ⇒ブログ記事:ビジネス要求、ユーザ要求、ソフトウェア要求(システム要件)の違い

  ところが、日本ではいまだこうした厳密なIT要求区分ではなく、曖昧なIT要件という用語が使われています。IT企業が要求の確認を疎かにして、システム要件の確定、そしてITシステム開発を急ぐからです。

 

5.ビジネスプロセスからIT要求を引き出す

  ビジネスプロセスに階層性があることは、別のブログで述べました。プロセス階層レベルのレベル2やレベル3のビジネスプロセスからは、ITへのビジネス要求を、そして、レベル4やレベル5のビジネスプロセスからは、ITへのユーザ要求に相当するIT要求を引き出せます。  

  ⇒ブログ記事:ビジネスプロセスからITへの要求を引き出す、IT要求開発をする

  効果⇒ブログ記事:★★ビジネスプロセスからIT要求を引き出す方法による効果例

  ビジネスプロセスモデリングの要素成果物として、個別プロセス詳細記述書などを作成しますが、これに記載されたプロセス機能、ITシステム機能、インプット1・2、アウトプット1・2、業務ルール、担当責任組織などから、IT要求の引き出しの質問項目を作成できます。

  従来は、全く、あるいはほとんど使われていないITシステム機能が約6割も存在すると言われていますが、質問によってIT要求を引き出せば、こうしたムダなITシステム開発を防止できます。

  IT要求は質問によって引き出す⇒ブログ記事:★★なぜヒアリングでは駄目なのか、質問・インタビューでなければならないのか

  BABOK2.0の第9章テクニックには、「IT要求の引き出し」として、12個のテクニックを取り上げています(BABOK3.0では4個を追加)。GUTSY-4はこれらを多元的に組み合わせて、ビジネスプロセスからIT要求を引き出すという、間接的な業務観察法を採用しています。

  詳細⇒ブログ記事:IT要求の一般的な引き出し方法、GUTSY-4での多元的な方法

  経験3年以下のSEでも、75%はビジネスプロセスを記述でき、50%はIT要求を引き出せる。 ⇒ブログ記事:社内研修事例

      ユーザ企業側がIT要求をきちんと定義できない現状において、システム分析工程においては要求確認レベルでは対応できません。IT企業にとっては要求分析レベルをできるSEの早期養成は重要な自衛策です。ブログ記事:システム分析における要求確認と要求分析の違い

 

6.改革・改善されたビジネスプロセスからIT要求定義すべき

  当然、IT投資効果を上げるためには、問題・課題を多く抱える現状プロセスからではなく、改革・改善されたビジネスプロセスからITビジネス要求、ITユーザ要求を引き出すべきです。

  悪い現状プロセスをそのままIT導入を進めると、その問題・課題が隠ぺいされ、かつそのまま固定してしまいます。トヨタはこうしたムダな設備投資・IT導入を強く戒めています。

    詳細⇒ブログ記事:トヨタの生産現場の改善してから設備導入、この考え方で企業はIT導入すべき 

  また、IT要求はヒアリングすると、本来は要求でない無駄なものを拾ってしまいのすで、「質問」して業務上に必要なものだけを引き出さねばなりません。

 7.守りのIT投資から攻めのIT投資へ

  IT導入の目的において、自動化の効果は「効率化、コスト削減」ですから、「守りのIT投資」になります。一方、情報化の効果は、「効果的な意思決定、売上増加」ですから、「攻めのIT投資」になります。事例⇒事例A①紹介:株式会社今野製作所 様 この事例AでのIT投資効果のROIは、数10倍です。

  今までは、自動化を追求するITソリューションばかりでしたが、最近は、情報化のためのアナリティクスやBPMSなどのITソリューションが数多く出てきました。米国ではCIO管轄の「守りのIT投資」金額よりも、CMO管轄の「守りのIT投資」金額が上回ってきたと言いますが、これは至極、当然です。

  詳細⇒ブログ記事:★★攻めのIT投資は、自動化・効率化ではなく情報化である!

    「守りのIT投資」では、どの辺で一番、工数がかかっているか、効率化の対象となるビジネスプロセスをユーザにヒアリングすることもできました。一方、「攻めのIT投資」では、全体のビジネスプロセスを可視化してボトルネックを特定した上で、必要な情報の流れを整流化し、ボトルネックにおける意思決定を改善します。これは、ユーザだけでは難しく、客観的な第三者であるビジネスアナリストとの協働作業になります。

  詳細⇒ブログ記事:守りのIT活用と攻めのIT活用、2つのアプローチ方法の違いは?

 

  GUTSY-4はビジネスアナリストをOJTで育成する期間を3-5年間も短縮できます。

以上

 

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