IT-Pro by日経コンピュータ 2014/03/25「うちの社長はITが分からない」の欺瞞  で「日本企業のERP導入の失敗の責任は経営者にある」を読んで、久しぶりにERPのことを思い出しました。

  私自身、1996-2003年までERP導入に関わって、在籍企業へのERP導入のプロジェクトマネジャーも務めました。ほとんどの日本企業でERPの効果を上げることができていない。これが、「ITだけではダメだ」と、ビジネスプロセスやルール、組織や人を統合して改革するビジネスアナリシス方法論GUTSY-4開発のきっかけになったのでした。日本企業にとっては、『ERPは最初からハードルが高かった』理由をお話ししたいと思います。

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  APICS(米国生産管理協会)は、ERMを次のように定義しています。

  企業資源管理(ERM; Enterprise Resource Management)とは、全体効率のよいオペレーションを実現するために、統合化された「計画、統制、管理」業務に必要な組織、人、ビジネスプロセス、ルールを整備すること。

  ERMのためのITツールが、MRPⅡやERPなのです。したがって、ERPを導入する前に、ERMがどの程度、実現されているかをチェックする必要があります。

  それが、APICSが1998年に開発した『ERM組織診断チェックリスト』です。日経ストラテジー2002年9月号にこの翻訳が掲載され、それに私も関わりました。なお、このチェックリストの著者の一人が、ゴールドラット著『チェンジ・ザ・ルール』に 登場する女性経営者
  ERM組織診断チェックリストの25個の主なチェック項目
 ・顧客志向:業績評価、教育、組織編成、業務プロセス改革
 ・全社観点:企業全体への教育、原価計算、SCMの考え方
 ・経営品質:標準化、ベンチマーキング、6σ、問題解決の手順、改善の制度化
 ・社員:待遇、情報入力への責任、ペーパーレス、ビジョン・情報の共有

  このチェックリストによる採点で、「50-70点」はまず企業改革が先決。「50点以下」では、根本的改革が必要とされている状態で、ERP導入は絶対に無理だとされています。私が、2001年に幹事をやっていた研究会メンバーに、自己採点してもらうと、大手電機メーカーは軒並み25-30点、外資系コンピュータメーカの日本法人ですら40点。

  したがって、経営者はITは分からなくても、ERMを実施してからERPを導入しなければならなかった。しかし、大手製薬会社の例では、世界の売上の1/3しかない日本でアドオン開発などで全体の導入費用の2/3を費やしてしまった。この原因は、日本企業がERMのレベルに到達していなかったことです。やはり、大規模なIT導入の前には、絶対にビジネスアナリシスによる企業改革が不可欠なのです。そして、それは、経営者の責任なのです。

 

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