関連ブログ記事:ビジネスプロセスとは何か、またその種類は? にて、入力に価値を付加して出力することがビジネスプロセスだとのべました。ビジネスプロセスには、この機能を果たすために必要な人・組織やリソース、そしてビジネスルールも関わってきます。単なる作業手順ではありません。

1.プロセス志向でない弊害の例

  2014年1月9日に、四日市の工場爆発事故で17人が死傷しました。屋外における作業手順が誤ったのか、作業マニュアルが十分だったかどうかは、今後、警察の捜査で明らかになるでしょう。「今まで経験則に頼っていた」ということは、マニュアルがなかった?

  今まで日本企業は、個々の日本人の能力に余りにも安住し依存してきて、ビジネスプロセスを軽視し、きちんと「見える化」してきませんでした。経験則に頼るということは、経験を持った人が退職・異動になれば、全く闇の状態になってしまいます。これは、ビジネスのパフォーマンス低下になりますし、このような事故にもつながりやすくなります。

・マグドナルドを「マニュアル文化」だと蔑視する低次元の理解。同社ではマニュアルの詳細ではなく、そのコンテキスト(精神)を教育しているとも知らず

・工場でのプラント管理での事故が多発していること。ビジネスプロセスを「見える化」せずに、経験則に頼って実施していたという(四日市事故)

・研究開発でのパフォーマンスが低いこと。特に、この10年で半減、これが「失われた20年の最大原因」

・営業プロセスを「アート」だという経営トップがまだ居ること。営業プロセスを標準化(「サイエンス」)していないのは日本企業だけ ⇒関連ブログ記事:プロセスの標準化への誤解

・ものづくりを始めベテランの退職と共にそのノウハウが継承されないまま消えていくこと。ものづくり日本はどこへ行くの?

 2.プロセス志向とは

  「プロセス志向」とは、このビジネスプロセスを中心に、業務やマネジメントの仕組みを設計して実行することを言います。当然、プロセスの「見える化」はプロセス志向の前提条件となります。ビジネスアナリシスの大半はビジネスプロセスを取扱って、プロセス志向にするためです。

  ビジネスプロセスという仕組みがあれば、成果が個人の能力にあまり依存せずに、継続的に成果を出せることになります。たとえば、「おいしいコーヒーを入れ方」はその例です。

  不祥事が起きると、組織のトップが頭を下げて、「2度とこういう事が起きないように再発防止に努めます」と謝罪する姿がテレビに流れます。私は、この組織は大丈夫かなと心配になります。なぜならば、再発しない仕組み、すなわちビジネスプロセスの整備に向かわないと、当然、また事件が起きることになります。具体性のない精神論をいくら言われても、もう再発しないとは到底、思えません。

  「プロセス志向」と対峙するものとして、「非明示的な管理方式」があります。かってもてはやされた、「日本的経営の特質」の一つが、職務機能、権限・責任関係、業績評価などを曖昧にして組織運営する「非明示的な管理方式」です。狭い日本の国の中で単一民族間では通用しましたが、これでは、民族、宗教、文化が互いに異なる人たちと一緒にグローバルに活動することはできません。

3.プロセス志向の効果

①プロセスによって、成果が繰り返し可能な仕組みになる

  プロセスがない成功はまぐれであり、2度目が成功できる保証は全くありません。一方、プロセスという仕組みによる成功は次回にも再現性があります。事例Aで、ETO品の受注・売上が倍増したのは、成功する確率を高めたルールを含めたプロセスが出来上がったからこそです。

②プロセス改善によって、仕組みを進化させられる

  プロセス改善によって、さらに大きな成果を得られる仕組みにすることができます。また、プロセスがまずく思うような成果が出なくとも、プロセス改善によって次回の成功率は確実に向上します。

③組織変更が容易になる

  プロセス志向では、プロセスの機能によって組織の機能もとらえることになります。したがって、その機能中心に組織の組み替えや人の役割を考えればよいので、組織変更や異動時の引継ぎも容易になります。

④プロセス中心に仕事を考えることで、人が成長する

  プロセス、すなわち機能中心に自分の仕事を考えれば、経験を積むごとにその機能をいかに高めようかという工夫が生まれ、人は成長していきます。逆に、機能中心に考えないと仕事の基本ではなく、この取引先の場合には、あの商品の場合には、と例外対応の枝葉ばかり覚えることになります。

  ISOでのプロダクト品質、米国MB賞での経営品質、経済産業省がいう業務基盤の「最適化」、これらすべてがプロセス志向を表しています。

  日本企業が失われた20年を取り戻すためには、基本、すなわち「プロセス志向」になって、その上に日本人の創意工夫の能力を積み上げるればいいのです! 

 

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