因果関係付けは論理思考の中心なのですが、因果関係が弱いのに安易に矢印で因果関係を表している場合に、過去、何度も遭遇しました。

1.ある外資系コンサルティング会社のコンサルティング結果を第3者評価

  ユーザ企業の業務代表者に対して、業務別にいろいろな課題を事前に出させておき、2泊3日の合宿を開催して、解決策を出させました。筆者は、ユーザ企業のこの結果について疑問を抱いたユーザ企業の部長から、第3者評価を依頼されました。

  合宿では、多くの課題をKJ法でグルーピング、その単位ごとにグループ討議して解決策を立案しました。ユーザは、当然、この解決策によって、ほとんどの課題が解決できることを期待したのは当然ですが、この因果関係付けに大きな問題がありました

①課題も解決策も、それぞれの業務上の粒度(プロセス階層レベル)が異なるものを強引にグルーピングした 

  たとえば、「顧客への納入リードタイムが長い」、「受注処理に時間がかかる」、「新規顧客への対面フォローが弱い」、この3つの課題は、業務上の粒度、すなわちプロセス階層レベルが相当に異なるので、本来、同じレベルの課題としては取り扱えません。

②因果関係の強さの検証をしていない

  合宿のワークショップにおいて、グルーピングした課題に対する解決策を検討して、これもグルーピングしました。しかし、解決策について課題が解決できるという因果関係が完全に成立するか、それが強いかの検証をしていませんでした。したがって、明らかに因果関係の弱いものを強引に矢印で結んでありました。ユーザは、そのように図示されたので解決できそうな気がしたらしいのですが、実際には何の根拠もありません。

  コンサルタントならば問題や課題を解決するために、因果関係付けに細心の注意を払うべきです。しかし、論理思考力が弱いコンサルタントは、上記のような安易なやり方で、安直に結論付けをしてしまいます。私が、SEはビジネスアナリストに向いているというのは、日頃、論理的に考えているからです。

2.よく見受ける誤った戦略マップの使い方

  バランスドスコアカードの戦略マップは、「学習と成長の視点」から「内部プロセスの視点」、「顧客の視点」、そして「財務の視点」への因果関係を見やすい形で示せます。しかし、戦略マップの信奉者が、弱い因果関係を強引に(あるいは無意識かも知れないが)矢印で結んだ例を度々、見受けました。

  上記でのべたように、業務上の粒度、すなわちプロセス階層レベルが異なるもの同士は、全体と部分を相互比較するようなものなので、一般的に因果関係は弱くなりこじつけに近くなってしまいます。「風が吹けば桶屋が儲かる」ほど、誰が見ても明白なこじつけではないですが。

  したがって、4つの視点の課題や解決策の粒度を揃えて、因果関係をA4とかA3の狭いスペース上で分析・設計するのは、論理的な緻密さの点でかなり無理があります。

  GUTSY-4では、複合的な事業戦略を経営機能(レベル1)に要素分解することだけに戦略マップを使用しています(詳細化は別の方法で)。そして、業務改革(レベル2)へ合意形成するために、かなり簡略化した戦略マップを作成する場合があります。合意形成のためには、論理的な緻密さよりも分かりやすさの方を重視すべきだからです。しかし、戦略マップを使って、完全で正確な戦略分析はできません。 

 

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