さて、サプライチェーン(計画、調達、製造、受注・出荷)や製品開発に関するレベル4のプロセス参照モデル(プロセスリファレンスモデル)を開発し終えました(その1)。 これらの最初は、プロセスフローとプロセス詳細定義書だけでしたが、エンティティ(情報、プロダクト、リソース)の詳細としてのインプット・アウトプット説明書、そして業務ルールの詳細としての業務ルール説明書に拡張しました。また、この4種類は、GUTSY-4でのプロセスモデリングの成果物となります。

  さて、これらをまとめた業務参照モデルを大手コンサルティング会社にも売りに行きました。アイデアや体系化したことにかなり感心してくれたものの、「うちの収入の8割は、現状の調査作業からです」と言って買ってくれません。なぜかと考えれば、業務参照モデルを利用すれば、生産性が向上して現状調査の工数が何分の一になってしまうため、コンサルティング会社は大幅な収入減となってしまうのです。

4.マーケティング・人的販売のレベル4プロセスを開発した

  中小企業診断士の受験のために、かなりマーケティングを勉強したものの、このレベル4のプロセス参照モデルを開発するには、私の知識・スキルは不足しています。しかし、日本企業はこの分野が弱いので必要不可欠、いつか開発したいと考えていました。そんな中で、東京海上日動システムズの横塚社長(当時)に、直接に提案できる機会を得ました。私は保険業務を何も知らないので、このままただ面会しても駄目だろうと考え、製品の返品プロセスを応用して保険事故処理のプロセスを描いて持参しました。実際にモデリングしてみると、この2つはかなり類似点が多くありました。クレームという用語も共通していますし。

  そんなことで、私の提案が採用され、保険代理店の業務プロセスの「見える化」(事例参照)というビジネスアナリシスのプロジェクトが始まりました。しかし、若手SEが参加して実際に始まるまで、1カ月間を待って頂きました。そうです、この期間で、マーケティング、人的販売、顧客サービスのレベル4のプロセス参照モデルを開発しなければなりません。なぜならば彼らには業務知識がほとんどないからです。こうやって自分を追い込むのがいつものパターンとしても、今回は、手ごわ過ぎる。

  マーケティング、人的販売、顧客サービス、そして保険関係の書籍は30冊近く読みました。もちろん、必要な個所だけの拾い読みです。プロセスの原型としては、米国APQCが開発したPCFを参考にしましたが、これはプロセスベンチマーキング用のフレームワークなので、プロセス粒度が不自然だったり、重複したプロセス機能も出てきたり、そのままは使えません。しかし、参考にできるだけでもありがたい。とにかく死にもの狂いの1カ月間で、100個以上のレベル4プロセスを開発し終えました。火事場の馬鹿力というヤツです。マーケティングはかなり幅広いので、当面、必要なものに絞り込みましたが。

  このレベル4のプロセス参照モデルの最初の適用には多少、不安を感じたので、通常のビジネスアナリシスとは異なって、その検証の意味合いもあって、まず「現状の業務プロセスの見える化」から始めました。これは、別段、大した問題もなく2カ月間でスムーズに完了。ビジネスアナリシス全体の完了後に、このプロジェクトへの適用経験を反映し、またベテラン営業マンと知り合って合計10時間ほど質問させてもらって(ただただ質問ばかり)、「チームセリング」の機能などを組み込んでバージョンアップしました。

5.商品企画のレベル4プロセスを開発した

  人的販売も商品企画も、フェーズごとのゲートウェイとなるプロセスを経て、成功確率を上げていく点では同じです。ところが、日本ではこれらは「アート」であって、科学的手法はなじまないとされてきて、「おかしいよ日本の営業は」と言われる始末です。商品企画では、コトラーの多くの著作を読み返しても、具体的な業務プロセスは出てきません。また、市販の本も、商品企画ツール集なんて本は沢山ありますが、業務プロセスになっているものは皆無。これに専念した訳ではないですが、2カ月間で50個位のレベル4プロセスを開発しました。また、これを今野製作所での過去の失敗例の分析に適用して、参照モデルとしての品質の検証、および改訂ができました。

  業務参照モデルの開発の8年間を振り返ってみれば、幅広い業務分野に関するプロセス参照モデルを開発できたのは、①中小企業診断士なので本を読むのが早く、情報収集を効率的に出来たこと、②数学を専攻したので、収集した情報やベテランの経験をベースにプロセス化するという抽象化が得意なこと、でしょう。しかし、プロダクトライフサイクル管理やテストマーケティングなど、まだ残っているものもあります。今は、どうしようかというところです。もう注ぎこめる私財もないし、モデル開発ばかりやってられない。

 

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