下町ボブスレー

      朝日新聞の夕刊に「氷上のF1をたどって」という連載記事を読みました。この下町ボブスレーは、大田区の機械金属製造業が持つ技術シーズを起点とした商品企画・開発プロジェクトです。連載の全てが終わっている訳ではありませんが、私が開発したプロセス参照モデルの「商品企画プロセス」と対比させると、いくつかの疑問点が浮かび上がってきます。

 1.顧客ニーズ(ボブスレー選手)の探索、解釈、深耕はどのように行ったのか?

 2.競合商品(海外ボブスレー)の調査と特定、ポジショニング分析はどのように行ったのか?

 3.日本製ボブスレーの商品仕様のレビューや商品コンセプトのプロトタイプテストはどのように行ったのか?

 4.商品開発についての費用と期間の見積もり、企業間でのリスク分担や合意形成はどのように行ったのか?

      これが、「開発・設計プロセス」では、「製造プロセス」では、「修正プロセス」では? と続きます。 (関係者の皆様のパッションには敬意を払いつつ

     「中小企業が各々の強みや技術を持ち寄って、大企業のように一つの商品を創り上げる。」このようなプロジェクトが新聞ニュースや小説になってしまう段階では、多くの事例が生まれている訳ではなく産業振興にはなりません。多くの中小企業連携プロジェクトが静かにたんたんと進んで、多くの成功事例が生まれて、ニュース価値もなくならなければ、沈みゆく日本を再浮上させる力にはなりません。

 中小企業連携のための業務プロセス基盤が不可欠

       しかしながら、従来の中小企業連携はかなり精神論的でイメージが先行し過ぎていました。プロセス志向で強固な業務基盤がなければ、多くの成功事例が生まれる訳はありません。このためには、マーケティング・販売、商品企画・設計・試作、製造、出荷、顧客サービスなどしっかりした業務プロセス基盤によって、複数の中小企業が一つの会社のように顧客に向けて活動できることが不可欠となります。

       当然、顧客からの問い合わせに回答できるために、分担した業務プロセスの進捗管理や品質トレーサビリティが必要です。また、この業務プロセス基盤には、複数の中小企業がリスク分担や合意形成を行うための、一つの企業内の場合よりも高度な業務ルールも必要になります。「気合いだ!」「頑張れ!」で、可能ならば苦労はしません。

      私の業務参照モデルをベースとして、こうした中小企業連携の業務プロセス基盤を開発しようという「企業間プロセス開発WG」を本年4月より、GUTSY-4の事例1-1今野製作所の今野社長、および私が理事長を務めているVCPC(バリューチェーンプロセス協議会)、ITコーディネータ協会の合同で開始しています。⇒VCPC中間報告

       それにしても、こうした企業内や企業間のソフト的なプロセス基盤の整備に対する、政府の助成制度は何もありませんね。発想が及ばないのでしょうか。我々は、手弁当、ボランティアでやるしかありません。自分で選んだ道だから文句は言いませんが、時々、ボヤキたくなります(笑)。

 

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