ビジネスアナリストがなぜ必要になるのか! については既に述べました。ここでは、ビジネスアナリストはどこに所属しているのか?について、米国の事例でのべます。

  以下は、米国カリフォルニア州立大学ポモナ校の一色浩一郎教授からの話です。一色教授には、GUTSY-4の監修もして頂きました。

  米国では、アプリケーションシステムの寿命(ライフサイクル)が、平均で約5年です。したがって、ビジネスアナリストは多くは、ユーザ企業側の開発プロジェクトのPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)に所属します。

  当然、ユーザ企業側には、既に社内コンサルタントとしてのビジネスアナリストが存在している訳ですが、この開発プロジェクトのために多くのビジネスアナリストが雇用されます(注1)。プロジェクトが完了すると、その多くは去って行きますが、ビジネスアナリシスやプロジェクトの教訓は、ドキュメントとしてユーザ企業に残ります。

  (注1)米国では、ユーザ企業側に所属しているIT人材は、ITベンダーのその3倍ほどの数がいます。ここが日本と大きく異なるところです。

1.PMOの役割

  米国のPMOの役割は、企業のCIOなどの指揮のもと、ビジネスアナリシスを行って、ビジネスモデル、これからのビジネス要求、そしてソリューション要求を定義します。要求を定義するプロセスは要求工学のプラクティスを利用します。

  そして、この要求を最も満たすソリューションを選択し、これを適正に実現できるITベンダーを選定します。したがって、オフショア開発のITベンダーが選定されることも、多々あります。

  日本と異なるのは、ユーザ企業側にPMOが組織化されることです。これが、IT投資効果を最ももたらす方法だからです。一方、日本では、PMOは多くは、システム開発を受託したITベンダー側に設置されます。これは、米国の方がまっとうなやり方です。なぜならば、正しい要求、すなわち正しいプロジェクト目的が定義されていないプロジェクトについて、いくら正しくプロジェクトマネジメントしても、それがもたらす結果は正しくないからです。

2.PMOでのビジネスアナリストの活動

  PMOに所属しているビジネスアナリストは、ビジネスモデルをデザインし、有効なビジネス要求を定義します。すなわち、省力化や効率化ではなく、競争優位に立てるビジネス要求を定義するのです。たとえば、Kaiser病院のプロジェクトでは、ビジネスアナリスト達は3,000人の患者に面談・インタビューして、イノベーティブなビジネスモデルを生み出しました。

  ビジネスアナリストは、こうした要求定義だけでなく、ソリューションごとのシステム分析(日本で「上流」と言われている工程)を行い、8時間の作業単位のSOWを定義します。そして、 これをRFPに記載して、ITベンダーを選定します。

  日本では、ITベンダー側のいわゆる上流人材がシステム分析を行います。しかし、システム分析の前半は必ず、要求を確認したり分解したりする要求分析となるため、スキルの高い上流人材は希少(注2)となっているのが現状です。

   (注2)要求分析にも、ビジネスアナリストのようなスキルが必要とされるからです。

 

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