ビジネスプロセスの標準化には、「標準化すると画一的なプロセスになるので、わが社では意味がない、わが社では標準化は無理だ」という大きな誤解があります。標準化の意味は、ビジネスプロセスの種類によって異なります。作業系プロセスに対する標準化はすべてを規定して画一化することです。  

  しかし、マーケティング・人的販売や設計・開発などの意思決定系プロセスに対する標準化は、画一的にすることではありません。しかし、プロセスの一部、特に判断や行動などの業務ルールプラクティスは標準化することができます。残りの部分は、やはり個人の能力と経験に依存することになります。

標準化とその効果.png

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  上図に、標準化に関する3つのパターンを示しました。このように、標準化には、全体の「底上げ」の効果があります。標準化によって、「個人の能力と経験」がより生きるのです。

1.図の左端標準がない

  この場合は、全て個人の能力と経験任せになります。上位の20%の優秀なメンバに負荷が集中して疲弊してしまいます。その他の80%は「野放し」状態です。「頑張れ」では、何をどのように??

2.図の真ん中汎用的な標準を利用

  流通している汎用的な標準、たとえばプロセス参照モデルなどを利用する場合です。ただし、汎用的なものを自分に合わせて活用するのは、一定の応用能力が必要となります。したがって、中位60%のメンバのある程度での底上げの効果がありますが、やはり一定の限界があります。しかし、この汎用標準、あるいはその利用経験は、次のプラクティスの準備となります。

      SoR、即ち調達・製造・出荷のような定型的業務の場合は、この汎用標準をかっちり決める必要があります。一方SoE、即ち設計・開発やマーケティング・人的販売のような意思決定系業務の場合は、汎用標準はかっちりでなくとも構いません。

3.図の右端自社のプラクティスの開発と利用

  プロセス標準化が終われば、プラクティスの開発です。プラクティスとは、「ある結果を得るのに最も効率のよい技法・手法・プロセス」のことで、経験則だけでなく、データサイエンス等で開発します。このプラクティスによって、中位60%のメンバを大幅に底上げできるという効果があります。

  特にSoE、即ち設計・開発やマーケティング・人的販売のような意思決定系業務の場合は、このプラクティスによって大きな差となります。日本企業が多額の研究開発費をつぎ込んでも、企業収益を向上させられないのは、標準プロセスとプラクティスの不在が主原因です。プラクティスの発見や開発は、ビジネスアナリストにとって重要な活躍分野です。  

  このプラクティスの具体例は、事例Aの今野製作所です。経験30年のベテラン営業の暗黙知であるノウハウを整理、形式知化してITツールに載せることで、ETO品の売上を当初の約13倍にしました。これによって、4月入社の新人営業でも7月には受注ができるようになりました。それまでは、ETO品の営業はそのベテラン営業しかできないと、社内では思われていたのです。  

  そもそも、GUTSY-4自体が、ビジネスアナリシスの方法論として、プラクティスなのです。ですから、東京海上日動システムズ社の入社4年生でもビジネスアナリシスができた訳です。保険の営業員は商品だけを説明する煩わしい存在。それが、顧客自身のリスク分析・評価を助ける存在になれば、売上が全体で2割程度増えるだろうとは当然の予測。

  住友理工では、研究開発プロセスの標準化が浸透したら、次はプラクティスの抽出・共有。これで組織全体の生産性は驚異的に向上するでしょう。 

 

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