昨日、企業連携プロジェクトで、今野製作所でワークショップを実施しました。今野製作所は事例Aの企業であり、油圧ジャッキを主力製品とする従業員30名超の中小製造業です。

油圧ジャッキ標準品.png油圧ジャッキETO品例.jpg

        同社の社長、幹部、営業員は、油圧ジャッキ標準品(上図の左側)、およびそのETO品(上図の右側)に対する顧客の要求は、質問して「要求を引き出す」(注1)、そして様々な要求の中から、「受入適合基準」(注2)を明確にすると、同社の会議や日常会話でも言っています。これによって、油圧ジャッキのETO品の売上を2倍、現在では8倍にできたからです(もちろん、標準品の仕様決定にも適用)。

 (注1)ビジネスアナリシスの用語で、質問や業務観察などによって、顧客自身が気付かない暗黙的要求や潜在的要求をelicitationする(引き出す)ことです。したがって、要求開発ともいいます。ビジネスアナリシスや要求工学では、要求をヒアリングするとは言いません。ヒアリングでは、明示的要求だけで、暗黙的/潜在的要求は把握できないからです。

 (注2)ユーザの最も重要な仕事を正しく実行し、一般的なエラー状態に対処でき、ユーザが期待する品質基準を満たすための検収基準。要求の発生元のユーザにインタビューするか記述してもらいます。重要な要求をテストする際の受入検収基準になるものです。

 

1.要求を引き出す、elicitationする

  今野製作所では、GUTSY-4を適用して、戦略からレベル2、レベル3、レベル4というように、ビジネスプロセスやルールを階層的に論理設計していきます。同社は今では、レベル5のプロセス・ルールやITシステムは、自分達で定義・制定したり、BPMSを使ったりして、3カ月サイクルでプロトタイプ開発しています。アジャイルという用語は使いません、もう普通のことですから。

  では、レベル5のプロセス・ルール、ITシステムの開発手順は現在、どうしているかを聞こうとしたところ、「では、渡辺さん、私から引き出して下さい」と言われました。elicitationするとは私が教えたのですが、逆にそれを言われてしまいました(笑)。

 

2. 要求の受入適合基準

  今野製作所では、社員が通常に発言しているように、納入した油圧ジャッキの検収基準となるもので、同社では、これを「顧客のこだわり」として最も意識して設計・開発を行っています。もちろん、これ以外の要求についても設計・開発・試験はしますが。

  何千人、何万人のSEがいるIT企業でも、「要求をヒアリングする」と言っているならば、40名弱の中小企業よりレベルが低いですよ! 

  そして、ビジネスアナリシスを経れば、ITシステム開発・導入はユーザ自身でもできるようになってきているし、クラウドサービスもあるし、IT企業はどんどん不要になっていきます。IT企業の経営幹部の皆様は、何を考えているのでしょうか? 

 以上

 

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