東京海上日動システムズ社前社長の横塚裕志氏はその著書『SEよ大志を抱こうの中で、「ビジネスプロセスの設計は、分析や論理思考などSE得意」と述べています。ここでのビジネスプロセスとは、SEが従来から取り組んでいたITを利用するものだけでなく、ITを利用しない人間系や意思決定系も指しています。

       これは、本当でしょうか? 筆者(渡辺和宣)は、大手製造業における社内研修によって、これが正しいことを証明しました。結論から言えば、業務参照モデルを利用すれば、2-4年生で可能です。4年生で可能なことは、東京海上日動システムズ社の事例Bで既に証明されています。

社内研修内容(全部で6時間)

       演習の対象業務は、家電量販店の見積・受注から出荷物流、納入・請求までのビジネスプロセスです。ほとんど業務知識なしの受講者に対して、プロセス参照モデルの該当箇所をざっと5分程度だけ説明した後に、演習に取り組んでもらいました。即席の業務知識だけで。

1.ビジネスプロセスフローを描く  座学+演習で、合計2時間

2.ビジネスプロセス詳細について12個のプロセス構成要素で記述す  座学+演習で、合計2時間

      演習直後の受講者からは、①自分なりにどこの業務が未経験なのかが見えてきた、②当初、思い浮かばない処理を思いつけた、③もれなく調査できる自信ができた、などという感想がありました。そして、全体終了後には、3年生以下の4人のうちの3人、すなわち75%が「ある程度、プロセスモデリングが出来そう」というアンケート回答でした。

       これは、GUTSY-4について第3者評価を受けた結論の「2-4年生でプロジェクト参加が可能」と一致しています。また、コンサル会社の収入の7-8割は現状調査と言われていますが、これはSEでも十分に出来るのであり、コンサルタントの仕事ではありません。

3.ビジネスプロセス詳細記述からIT要求を引き出す  座学+演習で、合計2時間

       演習直後の受講者からは、①GUTSY-4の質問項目はIT要求を聞き出すトリガーとなる、②インプットやアウトプットに関するIT要求については、どういう思考をすれば良いのかが分かった、③フレームワークに沿った質問シートによって、体系的にIT要求を質問できる、などという感想でした。

     そして、全体終了後には、3年生以下の4人のうちの2人、すなわち50%「ある程度、IT要求の引出しが出来そう」というアンケート回答でした。なぜならば、「ビジネスプロセスの記述」は間接的な業務観察法でありビジネスプロセスからIT要求を引き出せる、要求開発できるからです。

      これも、GUTSY-4を第3者評価事例Cを受けた結論の「2-4年生でプロジェクト参加が可能」と一致しています。通常は、IT要求を引き出せるビジネスアナリストになるのには、CBAP受験資格である10年以上の経験が必要だと思われています。その後、このIT要求質問シートは、クラウドサービスの丁寧な質問項目に発展しました。。

       特に、ビジネスプロセスモデリングはコンサルティング会社のプロフェッショナルサービスだというのは、全く疑問です。上記の研修結果や第3者評価の結果から、業務参照モデルを利用すれば2-4年生のSEで十分に可能なのです。なぜならば、図にしめしたように、IT系プロセスも、モノを作るような人間系プロセスも構造は同じだからです。冒頭の横塚氏はこのことを言っているのです。

IT系プロセスと人間系プロセスの違い.jpg

       プロセス改善してからIT要求を引き出すというのは、ITだけでなくトヨタ例の設備投資からすれば当然でしょう。これができない、企業側の情報システム部門、そしてITベンダーの存在は不要です。どうせできないなら、日本でなくオフショア開発でいいのだから。

 

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