ビジネスアナリシスの一番最初のWBSは、対象向けの用語集の作成から始まります。私が方法論GUTSY-4でそうした理由を紹介しましょう。

1.一般用語でも人によって意味が異なる
先日、JISAでのビジネスアナリシス部会の後の懇親会で、大手電機メーカーの社内ビジネスアナリストが言うには、「会議の中でも、事業部長や各部長、みんなそれぞれ「マーケティング」や「販売」の意味が異なっている」。また、保険会社と保険代理店とでは「クレーム」の意味も異なります。日本企業のマネジャークラスはOJTばかりで昇進して、途中でビジネスの教育をきちんと受けて居ないのが原因。これは、GUTSY-4の業務参照モデルや業務用語集で一定、防止できます。

2.企業内の用語でも事業部が異なると意味が異なる
10年前、ある会社でサプライチェーンの打ち合わせをしていました。いろいろな事業部からの参加者がいて、「納期」について2時間ほど議論しました。会議の終了間際に、お互いに「納期」の意味が異なっていることに、全員が気付きました。この2時間の会議は何だったんだと。ある営業は顧客とネゴしたのが納期、ある工場は営業にこれなら納入できると回答したのが納期。トヨタXXでもそうでした。これで、納期遵守率とは何の意味? これは日本語の省略が原因。プロセス参照モデルでは、「顧客要求納期遵守率」と明確に定義。

3.中小企業でも業務担当が異なると意味も異なる
上記2の例は大企業だからで、中小企業だったら大丈夫だろう、というのも誤り。GUTSY-4を適用した今野製作所では、最初は、「標準品」の意味が担当によって異なっていた。営業は製品カタログに載っているもの、工場は通常の製造工程で作れるもの、開発部門は設計が不要なもの。この状態のまま業務ルールを制定しても無意味で、日本語の曖昧さが原因。当然、現在は、用語集は作成済みです。よく海外進出と言われますが、用語を定義せずして日本と海外工場とが意思疎通がうまく行くとは思えません。

BABOKでは、用語集はテクニックに入っています。一方、方法論GUTSY-4では、一番最初に作成して、様々なWBSで継続的に更新していく要素成果物の一つとして取り扱っています。これが単なる知識体系と方法論の違いでしょう。

そして、「用語集」による用語定義の重要性は、ITシステム開発でも同様です。大手SI企業が作成した仕様書でも、作成者によって用語の使い方や意味がバラバラ。開発工程の生産性も悪いし、仕様書が保守に使えない。

 

カテゴリ