ビジネスアナリストだけではなく、マネジメント層は当然として、一般ビジネスマン層であっても、論理思考は最重要なスキルです。何故ならば、人は全てのことを実際に経験することはできないからです。たとえば、課長職から部長職に昇進した場合には、自分が担当してなかった課の業務についても判断しなければなりません。

  GUTSY-4では、多くの先人の知恵であるフレームワークを利用して論理思考します。これは、ビジネスアナリストだけでなく、一般ビジネスマンや経営陣にも役立つでしょう。

  (注)下記のCxx-xx-xxxという資料番号は、GUTSY-4に内蔵された資料の識別番号です。

1.論理思考のステップ

  下図のように、論理思考のステップには、①対象を抽象化、②適切な階層への構造化、そして③類推、④因果関係付け、さらに複雑な構造に対する⑤システム思考があります。この論理思考によって、高品質の推論すなわち仮説を得ることができます。一般ビジネスマンの場合は、抽象化、および構造化せずに済む類推だけでも、自分の実経験を何十倍にも拡張できます。

  要求や課題は階層性があることが多いので、抽象化の直後に構造化します。H.A.サイモンは、全ての人工物(建造物、組織、業務、プロセス、ITなど)は階層化していると述べています。さらに、生物も準階層化しており、これが人類の進化のスピードとなっているとも。

C20-01-01② 図.jpg

2.抽象化

  抽象化とは対象のある側面・性質を抽き出すことであり、抽象化によって対象を単純化し論理思考しやすいようにします。この際に、小説『坂の上の雲』に出てくる兵棋図上の艦船のように、できるだけリアルにするのも、論理思考には有効です。

  業務プロセスの場合、抽象化には業務参照モデルが有効です。ただし、実務経験を積んだ担当者は「使えない」と自己防衛本能や抽象化能力の無さから言いがちです。上司の方は、それを鵜のみにしないように注意してください。人の判断の6-7割は、論理ではなく感情からですので。⇒(追記1

3.構造化

  論理思考の対象は、階層構造を持つ場合が多い。H.A.サイモンは、全ての人工物(建造物、組織、業務、プロセス、ITなど)は階層化していると述べています。たとえば、経営や業務に関しては、事業部長の担当はレベル1の経営機能、部長はレベル2の業務機能、課長はレベル3のプロセスとか。

  従って、論理思考し易くするため、対象の階層性を把握して、適切な階層に構造化して、論理思考しやすくします。階層性とは⇒C20-20-00 、構造化とは⇒C20-20-03②

4. 類推

        まず、既知の領域(ベース)への経験・知識を基にして、対象となる未知の領域(ターゲット)へ仮説を立てます。

  類推スキルの5段階レベル⇒C20-01-70 では、①自分の経験をそのまま流用、②自分の経験を知識にして拡張、③自分や他人の経験・知識からその近くを推論、④経験・知識から離れた遠くを推論、⑤複数の経験・知識を組み合わせて推論。

       業務プロセスでは、他人の経験・知識である業務参照モデルを利用すれば、上記の類推③~⑤が可能となります。たとえば、類推④レベルでは、事例B②で入社4年目のSEが、製造業の返品プロセスをベースに保険の事故処理のプロセスを記述できました。

  AIによって今までの専門資格の8割は不要になると言われている現在、大手IT企業がSE部隊をまだ業界・業種別に編成しているのは何故でしょうか、AIを信用していないから?

5.因果関係

       対象について、因果関係付けにより根本原因を把握します。原因追究や影響分析に関する因果関係付けには様々な技法や図示法があります。因果関係図一覧⇒C20-30-01    

      ここで、人工物である経営や業務は階層化しているので、階層レベルが異なると影響度が弱くなり、因果関係が成立しなくなることに注意しなければなりません。⇒因果関係が弱いのに、安易に矢印で結んではならない!

  著名な外資系コンサル会社のコンサルタントでも、こうした誤りを犯しています。⇒論理思考を誤った人達(コンサル)(1.因果関係付け、2.KJ法) 

6.システム思考

  対象が構造を持つ場合は原因と結果が遠く離れており、単なる因果関係付けでは不十分となり、全体を観るシステム思考が不可欠です。そうでないと、サプライチェーンのビールゲームや株式投資のベータ革命の例のように、75%の人が戦略を考えない人に負けます。⇒C20-40-02 スナップショット思考による誤り[センゲ]

  従って、経営に関する意思決定を行う経営層は、システム思考によって高品質の推論を行うことが不可欠となります。⇒C20-40-10 システム思考の8つの原型 [センゲ]

  センゲの8つの原型のうちの2つは、私自身、実際に目にしました。一つ目は、「問題のすり替え」で、一時的な需要増加を勘違いして新工場を建設してしまった例です。大手製造業の子会社だったため、倒産せずに済んだのですが、経営陣がシステム思考できなかった例です。⇒論理思考を誤った人達(経営陣)(3.システム思考)

  二つ目は、「成長と過少投資」です。本格的な需要増に対して事業部が対処療法して、海外の一工場に責任を押し付けた例です。

       ビジネスマンは、役員に出世したと単純に喜んではいられません。システム思考できないと、誤った経営の意思決定をしてしまうからです。自分の能力が見合わなくても、役員が嬉しいですか?   

7.GUTSY-4に組み込んだ論理思考の各種技法

  GUTSY-4に組み込んだ論理思考の各種技法

  以下、参考までに論理思考のための参考となるブログをピックUP。時間がある時に読んで下さい。 

  ・類推 ⇒類推(アナロジー)とその5段階レベル近々にブログに書きます

  ・システム思考 ⇒システム思考における8つの原型(近々にブログに書きます 

 

(追記1)物事を歪んで判断する自己や組織防衛の本能がなぜ生まれるのでしょうか。その多くは企業文化や上司の考え方です。花王の故橋山氏は、「花王では自分の仕事を改革して不要にした人が出世する」と言っていました。これは防衛本能の真逆です。抵抗を生むのは上司や組織の甘さであり、終身雇用制度の大きな弊害です。