最近、IoT、RPA、AIなどの最新ICTソリューションがまるで「魔法の杖」のように騒がれています。私は、それにかなり違和感を覚えます。その理由は、

   ①企業の重要なボトルネックであってこそ、大きな効果が上がる

   ②それぞれ適用可能なICTソリューションには重要な前提条件やポイントがある

      これを考慮しなければ、いくら最新のICT技術を導入しても、思うような効果は全く出ません。

1.企業の重要なボトルネックを特定すること

  企業には多くのボトルネックがあります。業務プロセスの「見える化」が完了していれば、それは既に明確です。それに優先順位を付けた上で、最も重要なボトルネックを特定した上で、そのタイプごとに実用可能なICTソリューションがあるかどうかを検討しなければなりません。

       ところが、「見える化」ができておらず、技術主導で誤ったプロセスにエイヤと導入すれば、効果はほとんど出ないからです。下記図⇒M800-205①図

  品質の大家であるジュランの言「いくら技術の粋を尽くしても、消費者が買わなければそれは不良品である」を忘れないように。

M800-205①図.jpg

    上記図「ボトルネックの特定とICTソリューションの最終決定と選定」のためのGUTSY-4でのWBS・アクティビティ

   フェーズⅠ【160-30】 数100のボトルネックのうち最重要は?
     フェーズⅡ【220-80】 最重要なボトルネックのタイプは?
        【235-30】 実用可能なICTソリューションがありそう?
     フェーズⅢ【310,328】レベル4(意思決定)プロセスの現状記述・設計
        【360-30】 ICTソリューションの最終決定と選定

    既に、プロセスの「見える化」ができていれば、【360-30】でICTソリューションの技術進捗を監視さえしていればよいのです。この「見える化」ができていないと最新ICTソリューションの導入は、行きあたりばったりとなってしまいます。

  (補足)2018.4.18のBPM協会セミナーでは、「RPAはピンポイントの導入に有効」と報告されていました。「見える化」されていなければ、このピンポイントを特定するのは「大海から小石を探す」に近くなります。上記の私の主張を裏付けていました。 

2.特定されたボトルネックの類型  

  私は、非定型の意思決定プロセスにおけるボトルネックを以下の4つのタイプに分類しています。

(1) 類型A:組織内の一部に暗黙知が存在する場合

      これは、組織内の個人が持つ暗黙知を形式知にするソリューションである。 

   (例)ベテラン暗黙知を形式知化(私が体験、事例A)、優秀な営業マンの行動をベストプラクティスとして標準化(IBM営業)

(2) 類型B:組織外に膨大なデータや知識が存在する場合

  これは、膨大なデータをアナリティクスで解析し、獲得した新たな知をルールエンジン等のRPAによって意思決定を自動化/半自動化する。

  (例)優良顧客の抽出(昔、有名になった丸井のRFM分析、与信枠を自動設定(私が体験)

(3) 類型C:前例が無く組織内にも組織外にも知がない場合

  IoT等で詳細なデータを収集できるが、今まで入手できなかったため、これを解釈するロジックもフィードバックするプロセスもないような場合。

  (例)amazon通販での顧客インサトの推察、IoTデータからのOODA

(4) 類型D:組織外が持つ知を自組織の知として利用

  ワトソン君や医療診断のような民生用AI、そして、予兆設備保全のようなGEの産業用AIがある。

  以上のうち、私自身は類型A(事例A)と類型B(SE時代)は手掛けた経験があります。

  しかし、上記のいずれにも、重要な前提条件やポイントがあることを忘れてはなりません。技術だけでは解決できません。人がどうそれを納得するか認知心理学が必要な場合があります。  

  アプリ開発が中心のIT企業で、たとえば、類型Aの課題「ベテランSEの暗黙知たる業務経験の形式知化」ができていないのに、大きな投資が必要な類型B、類型C、類型Dに走るのは全く理解できません。