弊社で開発したビジネスアナリシス方法論GUTSY-4では、ビジネスモデル、ビジネスプロセスモデル、IT要求モデル、ITモデルを階層的に整合させることで、「攻めのIT活用」を実現しています。ここでは、「攻めのIT活用」とは、売上増加につながるIT投資だと定義します。一方、今までの「守りのIT活用」では、コスト削減を追求してきました。

   「守りのIT活用」は、効率化によるコスト削減を狙うものですが、その効果は一過性で終わり、毎年、継続することはありません。一方、「攻めのIT活用」は、意思決定の質向上による売上増を狙うものであり、その効果は、毎年、継続して向上していきます(事例A)。⇒ブログ記事:2つのアプローチ方法の違い

   そして、「守りのIT活用」ではサプライチェーン業務、「攻めのIT活用」ではマーケティング、人的販売(見積の前段階)、製品企画・開発、顧客サービスのように、対象業務領域が大きく異なります。大半のIT技術者にとっては今まで未経験の業務領域です。⇒関連ブログ記事:攻めのITの業務領域の違い 

 

1.定型的プロセスにおける「守りのIT活用」への要求とITモデル

  今まで、サプライチェーン業務などにおける構造化された定型的プロセスでは、冒頭図の右端のようにプロセス・ルールの両方共定型化可能なため、大量のデータ処理の効率化を目的とした「自動化」が必要なプロセスをピンポイントで特定して、そのためのIT要求が定義され、個別開発、ERP等のパッケージ、あるいは自動生成ツールなどのITソリューションによって、ITシステムが構築されてきました。この場合、ビジネスプロセス間のデータ連携による効率化のためにデータベース化して、ルールをITロジックとして組み込む必要があり、ERP導入のように長期間と多額のIT投資が必要でした。

  関連ブログ記事:ビジネスプロセスとは ビジネスルールとは 

  また、自動化による効率化のIT投資効果は一過性のものであり、その効果が毎年、継続して向上することはありません。そして、「自動化」による効率化の余地がまだ、沢山、存在している場合には、戦略からのビジネスモデルを実現するためのビジネスプロセスの設計のようにビジネスアナリシスは必ずしも必要ではなく、現状のビジネスプロセスをただ分析して、IT化すれば良かった訳です。ある程度、IT化が進めばこうした「もぐら叩き」はもはや有効ではなくなります。

  関連ブログ記事:データと情報の違い 自動化と情報化の違い 

 

2.非定型的プロセスにおける「攻めのIT活用」への要求とITモデル 

  冒頭図の左端や真ん中にあるような、プロセス・ルールのどちらかだけが定型化可能な半構造化の意思決定プロセスでは、一時はDSSシステムが話題になりましたが、今までは殆どIT活用が進んでいませんでした。したがって、戦略からのビジネスモデルを実現するためのビジネスプロセスを設計しても、ITの恩恵を受けることができませんでした。 

しかし、技術が発展した現在ならば、ビジネスプロセスの「見える化」による情報の整流化への改善、そしてボトルネックとなっているプロセスを発見して、これをピンポイントで改善できます。すなわち、効果的な判断のために曖昧でさえある情報を提供する「情報化」、または判断のうちロジック化できる一定部分を「自動化」によってです。

  この場合、情報化として新たなIT、たとえば非定型的BPMSやビッグデータのアナリティクスなど、自動化としてプロセス管理BAMやルールエンジンなどのITソリューションを選定してITモデルを構築できます。

  したがって、「見える化」などビジネスアナリシスのための期間と費用はかかりますが、IT投資全体では少なくて済みます。また、ITシステム構築は段階的にインクリメンタルに進められます。そして、情報化の効果は、事例Aのように人とITが協働・共創する組織学習によって、継続的に毎年、売上が2倍、4倍、6倍と増加していくのです。すなわち、IT投資効果は大きく向上します。