ここでは、「攻めのIT活用」とは、売上増加につながるIT投資だと定義します。一方、今までの「守りのIT活用」では、コスト削減を追求してきました。守りのIT」でサプライチェーン業務が対象でしたが、これからの「攻めのIT」ではマーケティングや製品開発のようなバリューチェーン業務と、対象業務領域が大きく異なります。⇒詳細

  米国では、CMO(チーフマーケティングオフィサー)管轄のIT投資額が、CIO管轄のそれを上回ったと言われています。CIO管轄のITの対象業務領域はサプライテイェーンや会計などでしたが、CMO管轄のITの対象業務領域はバリューチェーンなのです。たとえば、なぜビッグデータ分析するかといえば、それはマーケティングのためなのです。

 

1.定型的プロセスにおける「守りのIT活用」への要求とITモデル

  今まで、サプライチェーン業務などにおける構造化された定型的プロセスでは、下図の右端のようにプロセス・ルールの両方共定型化可能なため、大量のデータ処理の効率化によるコスト削減を目的とした自動化」のためのIT要求が定義され、個別開発、ERP等のパッケージ、あるいは自動生成ツールなどのITソリューションが導入されてきました。この場合、ビジネスプロセス間のデータ連携による効率化のためにデータベース化して、ルールをITロジックとして組み込む必要があり、ERP導入のように長期間と多額のIT投資が必要でした。

  しかしながら、自動化による効率化のIT投資効果は一過性のものであり、低成長下ではその効果が毎年、継続して発揮されることはありません。そして、「自動化」による効率化の余地がまだ、沢山、存在している場合には、戦略からのビジネスモデルを実現するためのビジネスプロセスの設計のようなビジネスアナリシスは必ずしも必要ではなく、現状のビジネスプロセスをただ分析すれば良かった訳です。

 

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2.非定型的プロセスにおける「攻めのIT活用」への要求とITモデル

  マーケティングや商品開発という業務領域は、上図の左端や真ん中にあるようなプロセス・ルールのどちらかだけが定型化可能な半構造化の意思決定プロセスとなり、両方共が構造化されているものは少ない。「攻めのIT」活用とは、ここでの意思決定をITによって効果的に行うという狙いです。

  この業務領域では、一時はDSSシステムが話題になっただけで、今までは殆どIT活用が進まず、ITの恩恵を受けることができませんでした。日本では、多くの企業人がIT=効率化のためのツールという固定観念を持つに至りました。

  しかし、現在ならば、ビジネスプロセスの「見える化」による情報の整流化への改善、そしてボトルネックとなっているプロセスを発見して、これをIT活用によってピンポイントで改善できます。すなわち、効果的な判断のために曖昧でさえある情報を提供する情報化」、または判断のうちロジック化できる一定部分を自動化」によってです。

  この場合、情報化として新たなIT、たとえば非定型的BPMSビッグデータのアナリティクスなど、自動化としてプロセス管理BAMやルールエンジンなどのITソリューションを選定してITモデルを構築できます。従来よりも格段に進歩したからです。

  したがって、「見える化」などビジネスアナリシスのための期間と費用はかかりますが、IT投資全体では少なくて済みます。また、ITモデル構築は段階的にインクリメンタルに進められます。そして、情報化による効果は、事例Aのように人とITが協働・共創する組織学習によって、継続的に毎年、向上していくのです。たとえば、事例Aでは、初期投資と同一人員だけで、売上が8倍に!