GUTSY-4(ビジネスアナリシス方法論と業務参照モデル)を開発し、適用を始めて13年が経過しました。本ブログでは、GUTSY-4の主要適用分野であるSoEについて述べます。 

     業務領域には2種類のタイプ、SoRとSoEが存在します。2014年にガートナーが主張したのですが、米国ではこの直後からIT投資額はSoEがSoRを上回るようになりました。SoRは、自動化や効率化を狙う従来型の「記録のシステム」であり、サプライチェーンの調達・製造・受注出荷そして経理などが対象。SoEは情報化や増力化を狙う「繋がりのシステム」であり、マーケティング、人的販売、商品企画・製品設計・試作などが対象。

 詳細:http://process-design-eng.com/contents/library/img/C70-01-35N.pdf  

1.SoEのアプローチは、「見える化」から

  SoEでは、(ビジネス)プロセス設計が先決で、次にIT化の検討となります。プロセスが見える化されていない多くの日本企業にとって、かなりハードルが高いですね。本来ISOでは、個人別プロセスではなく、組織で統一されたプロセスを要求しています。ならば、最近の新聞にもあった自動車の完成検査を怠ったことによるリコールなど起きる筈がありません。認証取得そのものが偽装でしょう。

   そして、日本企業の研究開発投資は売上高比10%と高額なのに、なぜ付加価値生産性が低いのでしょうか。日経コンピュータ誌の調査によれば、SoE用のITツール「AI、データ分析、IoT、CRM」は満足度が低いと報告されています。最近では、RPAは効果が小さいとも。「見える化」自体ができていないので、SoE適用は大海から小石を探すことになります。

   従って、日本におけるSoEでは、全体プロセスを「見える化、再設計」して、ボトルネックを特定、最後にIT化となるべきです。最初にIT検討ではありません。

  2010-2011年における今野製作所事例では、全体プロセスを「見える化、設計」して、ボトルネックを特定、そしてIT化となりました。その費用は、コンサル30人日 (数百万円)と月800円/人のクラウドサービスであり、効果は同一人員のままでETO品の売上増が累計8億円以上になり、さらに売上は増大中。

 経過:http://process-design-eng.com/contents/casestudy/20130421konno-seisakusho.html

 詳細:http://process-design-eng.com/contents/library/img/M425-402N.pdf

 2. GUTSY-4によるSoEアプローチ

     ビジネスアナリシス方法論GUTSY-4では、数年前にサプライチェーンというSoR領域だけでなく、SoE領域を強化しました。その契機は、シャープが中国企業に買収されて卓越した経営者によってV字回復したことです。一方、日本企業ではSCMもなかなか成功しませんでした。そして、日本企業の海外生産化が進行して、国内に残るのは製品設計・開発業務だと思ったからです。        

     昨年から、材料S社の250名の研究開発本部でビジネスアナリスト2名を育成中です。これは、データサイエンスツールとの競合に勝ったものです。現状プロセスが全く不十分なので、そもそも分析に使えるデータが無いと判断し、プロセス標準化+SoE構築を提案しました。 SoEとして、先ず設計・開発のプロセス標準化を行い、この上に独自プラクティス25個を搭載し、5月から本稼働中です。

  ここでのプラクティスとは、「優れた設計者」の暗黙知を形式知化して、多くの中間層の底上げに利用します。そして、下記図の濃緑のように第1次から2次、3次と次々に拡充、継続していく予定です。最終的には、研究開発業務は、21世紀の「知識社会」に対応したものになります。 

 詳細:http://process-design-eng.com/contents/library/img/C60-10-65N.pdf 

  SoEでは、SoRとは全く異なり、パーフェクトな定義でなくとも、これに多くの事例が蓄積されることで、今野製作所事例では投資額の年間売上増への貢献が130倍以上となっています。たとえば、米国3M社では研究開発業務を1990年代からプロセスを標準化した上で、自社で開発したプラクティス(最初は6σを応用して)を搭載し適用しました(現在ではデザイン思考を取り入れているでしょう)。 

   SoE用のITツール導入(ルールエンジン、AI、アナリティクス等)では、決めつけ導入はダメであり、プロセスの見える化と標準化、そしてボトルネックを特定して、その上で適切なプラクティスを選定して導入します。プラクティスはITツールだけとは限りません。これをITツール先行だと全くダメ(日経コンピュータ誌の調査どうり)。

 3.ITベンダーは企業内のSoE利活用経験を基に提案したら

     ITベンダーならば最初の顧客は自社そのものであり、プロセス候補は社内に一杯あります。自社の問題を放置してユーザに導入しようとは、まさに「紺屋の白袴」そのもの。

   たとえば、営業(=人的販売)プロセスでは、いわゆる「出来る営業マン」からのプラクティスを抽出・導入するとか、先ずビジネスアナリシスを自社で実践すべきです。

  設計・開発業務では、標準化の効果はプラクティス候補である「教訓」の抽出・共有です。プロジェクトの失敗は、複合した原因から発生します。プロマネの「2度と失敗しません」という言に頼るIT企業は、まずは社内からで、AIに携わる資格は全くなし。終戦から60年たっても、竹やり精神は健在?

  『IoT,RPA,AIなどの最新ICTソリューションは、どこにどのように導入したらよいのか』

  http://process-design-eng.com/contents/iotrpaaiict.html