GUTSY-4の方法論に関する補足説明のコーナーです。

  BABOKや要求工学では、要求アナリストが要求ワークショップを開催し、ユーザに対して高レベルかつ自由回答型の質問を行うことによって、要求を「引き出す」としています。すなわち、ビジネスアナリストには、それだけの質問ができるための豊富な経験を必要とするのです。BABOKを勉強している程度では、要求は引き出せません。そのためにBABOKを勉強しているのに! では、一体、どうしたらよいのでしょうか。

  その答えは、業務プロセスの詳細を明らかにして、これからITへの要求を引き出すことです。これは、間接的な業務観察法に近い方法です。個別の業務プロセスの記述が正確に完了していれば、プロセス構成要素ごとに、CobiTの情報要請規準に沿った質問をしていくことで、機能要求と非機能要求の両方を引き出せます。すなわち、業務プロセスの正確かつモレのない記述をもとにしてIT要求開発を行えるのです。

1.業務プロセスのプロセス構成要素とIT要求の強い関係

  各々のプロセス構成要素は、その特性に対応したITによる支援が欲しいというIT要求を発生させます。以下、主なプロセス構成要素について、簡単な例をあげましょう。

・プロセス機能は、インプットからアウトプットへの変換をできるだけ自動化して正確に行うこと

・インプット1は、プロセスへのニーズ情報となるため、これが正確でモレがないこと

・インプット2は、プロセスへのリソースとなるため、必要なリソースが確保されていること

・アウトプット1は、プロセスからの完了情報となるため、これが正確で使いやすい形式で出力されること

・アウトプット2は、プロセスで消費・生成したリソースとなるため、これが正確に更新されていること

・業務ルールは、プロセスで必要なチェックや計算のルールとなるため、これをできるだけ自動化すること

・担当責任組織は、プロセスの実行組織・人となるため、正当な実行権限があること

2.CobiTの情報要請規準とは

  CobiTでは、情報に対して、有効性(効果や品質)、効率性(速度や生産性)、機密性(セキュリティ)、インテグリティ(一貫性)、可用性(利用性)、コンプライアンス(適法性)、信頼性(堅牢性)という、7種類の情報要請規準を定義しています。

  たとえば、上記1のアウトプット1の「正確で」はインテグリティ、「使いやすい」は可用性ということになります。

3.プロセス構成要素とCobit情報要請規準から作成する質問項目

  GUTSY-4では、14種類のプロセス構成要素、および7種類のCobiT情報要請基準との組み合わせによって、ITへの要求として合計60個の質問項目マトリクス表(注)を用意してあります。プロセス構成要素ごとに記述された内容を使って、この60個の質問をユーザに行うことによって、機能要求と非機能要求の両方のITユーザ要求を引き出します。

  (注)質問項目マトリクス表は、クラウドサービス化によってさらに丁寧で使いやすいものになっています。⇒2/8より「超上流」提供開始

  もちろん、戦略や業務課題から定義されたITビジネス要求がプロセス構成要素に記述されていれば、それは必ずTユーザ要求として具体化、詳細化されます。

  質問項目としては、たとえば、「有効性」だと、インプット2の計画情報の有効な属性は?、リソースとしてのキー条件は?、制約条件となる場合は?、などと質問していくのです。一つのレベル4プロセス(アクティビティ)全体での所要時間は約60分です。

  こうして、業務プロセスの記述をもとに、ユーザから正確にもれなくITユーザ要求を引き出します。そして、ITビジネス要求をもとに、すべてのITユーザ要求について、合理的に優先順位付けします。もれなくすべてのITユーザ要求を引き出すものの、これをすべて実現する必要はありません。

  GUTSY-4におけるIT要求の引き出しのメリットは、要求を引き出すのに特別なスキルを必要としないこと、ユーザが業務への理解度が低くても具体的な質問によって気付きを与えられることです。また、前提とする業務プロセスの記述自体も、業務参照モデルの利用によって、事例のようにそれほどの業務知識を必要とはしません。

 

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