GUTSY-4の方法論に関する補足説明のコーナーです。

  先般、IT要求の一般的な引き出し方法、GUTSY-4での多元的な方法について説明しました。本ブログでは、その効果について述べましょう。

1.IT要求のビジネスプロセスからの引き出しの効

(1)GUTSY-4が完成する以前の事例

  ある製造業の情報システム部長から「開発費5億円、期間1.5年の受注・出荷システム開発プロジェクト」について、ITベンダーによるシステム分析を終えたが、どうも要求自体に不安があると、IT要求レビューの依頼を受けた事例です。すなわち、抜けていそうな要求はないか、不明瞭な要求はないか、業務上、金メッキ要求はないか、過大な非機能要求はないかなどをレビューしました。

レビュー方法

  私は、IT要求定義自体には全く関わっていなかったため、ITベンダーのシステム分析のドキュメントを読み、そこからIT要求定義書を掘り起こしました。

  そして、当該ビジネスプロセスに対して、プロセス参照モデル(レベル4)のプロセス機能から、このプロセスにはこんな機能要求があるはずだ、プロセス機能からすると元々の要求が不明瞭だ、業務の重要性からすると過大な金メッキ要求ではないか、などの指摘を行いました。たとえば、ユーザは現行システムにその機能があるので敢て出さなかったとかの反応がありました。

  この事例は、プロセス記述してからではなく、プロセス記述にリバースエンジニアリングして、そこから、私なりにIT要求を仮説して、レビューしたものです。レビュー期間は、約1カ月でした。金額はITシステム開発費の1%。

効果

  今までオンタイムで開発が完了したことが無かったのでしたが、本プロジェクトは計画どうり、そしてIT要求の手戻り・追加がありませんでした。これは、IT要求定義書に、受入テストでの検収基準となる「受入適合基準」を記入してもらったことも効きました。とにかく、ビジネスプロセスの機能から、IT要求を引き出すことの効果を実感した事例でした。

(2)私の仲間のRFPの作成事例

  これは、私と一緒にサプライチェーンカウンシル日本支部で活動していた仲間が手掛けた製造業の事例です。

①ビジネスプロセスからのIT要求定義

  まず、約8カ月をかけてプロセス参照モデル(レベル3)を利用して、新しい業務プロセスや業務ルールの設計を行ってから、そこからIT要求を定義してERP選定のためのRFPを作成しました。このRFPに対する各ERPベンダーの提案金額は、3%以内の僅差であったといいます。

②効果

  RFPに添付されたビジネスプロセス設計からの明確なIT要求なので、ERPベンダーはリスクを小さく評価して、ユーザ企業は精度の高い提案を受けられました。そして、ERP導入の最初の工程であるフィット&ギャップ分析を終えても、導入金額の見直しは発生しませんでした。通常、ITベンダーからの提案金額が大きく開いた場合は、定義されたIT要求やRFP自体に問題があります。ITベンダーはリスクに敏感ですから。

(3)BPMを経てのITシステム開発事例

  これは、あるITベンダーの発表事例ですが、信憑性が十分にあるので取り上げました。

①ビジネスプロセス設計とIT要求定義

  生産計画、製造、調達、出荷業務について、人間系プロセスを含めて見える化、再設計し、ここからIT要求を定義しました。

②効果

  何よりも「IT要求が安定していること」から、IT導入期間とコストは、今までの同規模のものと比較して、約4割ほど削減できました。

 

  以上、ビジネスプロセスからIT要求を引き出した3つの事例を紹介しました。共通的なことは、IT要求が安定していて、開発規模を大幅に縮小できたことです。これは、別に、不思議なことでは、ありません。

  ビジネスプロセスや帳票類を調査・検討して、そこからIT要求を定義してITシステム開発するのは、コンピュータ初期時代は誰でもそうやっていたのです。ビジネスプロセスからIT要求を引き出そうというのは、間接的な業務観察法だからです。

  したがって、ITシステム機能の約64%が全く、あるいはほとんど使われていないという統計からすれば、開発規模の4割削減などは特別に驚くことではありません。

 

2.GUTSY-4でのIT要求の多元的な引き出し方法の効果

  上記1の事例は、ビジネスプロセスからIT要求を引き出すというテクニックを使用したものです。さらに、GUTSY-4によれば、このビジネスプロセスには、経営面からのビジネス要求が既に反映できている上、ITを利用しない人間系プロセスも改善ができています。

  GUTSY-4では、このビジネスプロセスに加えて、ビジネスルール、CobiTの情報要請規準、受入適合基準、IT要求の優先順位付け、という多元的な引き出し方法を採用しています。このため、東京海上日動システムズ社の事例Bのように、ビジネスアナリストや要求アナリストとしての経験が全くなくても、IT要求を質問して、ユーザから引き出すことができるという効果があります。

  GUTSY-4は、上記1(1)をエンジニアリング的な手法に高めたものです。さらに、これをクラウドサービス化して、提供を開始しました。

  そして、IT要求を大幅に削減できるので、ビジネスアナリシスの費用は十分にここからねん出できます。さらに、システム規模が縮小するので、全体の6-7割を占めるアプリケーション保守の費用も大きく削減できます。

以上

 

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