業務参照モデルに関する補足説明のコーナーです。

  業務参照モデルの中核を成すのが、プロセス参照モデル(プロセスリファレンスモデル)です。欧米のグローバル企業は、ほとんどが自社の標準的プロセスを持っていて、企業活動のグローバルな統制をはかっています。

1.プロセス参照モデルとは

  プロセス参照モデルは、業務プロセスを調査・記述、分析、設計する際に参照できる、MECE(もれずだぶらない)な標準的な部品のことです。部品というのは、組み合わせる必要があるということです。たとえば、受注組立生産は、半製品を見込生産しておいて、受注によってそれ以降を受注生産するという組み合わせになるからです。  

  プロセス参照モデルはプロセスを調査・記述する際の仮説として利用できるものです。現状調査を複数人で分担しても粒度(詳細さ)を一致できる、ここからの質問によって調査・記述し、かつ現状で「存在しない」部品も明確になります。

  関係者の共通理解のためのコミュニケーションツールとしても利用できるものです。特に、日本企業は、事業部や工場が異なると、用語とか意味が異なったりします。

  プロセス参照モデルを利用して質問していけば、現状の業務プロセスをもれなく、正確に、かつ短時間で調査・記述できます。大企業では事業部を超えて、中小企業では企業を超えて、それぞれのビジネスプロセスを標準部品を組み合わせて記述できます。

  そして、プロセス参照モデルの定義情報(プロセス構成要素)の内容を参照して、インプットの不足や業務ルールの未整備などの問題点も発見できます。

  また、プロセス参照モデルは、下記のように階層レベル別になっていますので、目的的別に使い分けます。女性が使う鏡でいえば、姿見、鏡台、手鏡、コンパクトなどのような違いでしょうか。⇒関連ブログ記事:プロセス階層レベル別のプロセスフロー

2.グローバルなプロセス参照モデル

モデル名  

ドメイン、階層レベル プロセス構成要素 開発元
SCOR

サプライチェーンの計画、調達、生産、出荷

レベル1~3

プロセス機能、インプット(発生元)、アウトプット(行き先)、メトリクス、ベストプラクティス

米国サプライチェーンカウンシル 1996年発表  現在、Ver11.0

http://supply-chain.org/

SCOR拡張

レベル4

ESCORT

サプライチェーンの計画、調達、生産、出荷

SCORの下のレベル4

プロセス機能、インプット(発生元)、アウトプット(行き先)、コントロール(業務ルール)、組織

(株)現プロセスデザインエンジニアリング社2007年発表、Ver2.2

http://process-design-eng.com

 DCOR

商品開発、設計・試作、リサーチ、およびこれらの計画、修正プロセスレベル1~3

 プロセス機能、インプット(発生元)、アウトプット(行き先)、メトリクス、ベストプラクティス

 

米国サプライチェーンカウンシル 2006年発表 現在、Ver1.0

http://supply-chain.org/

DCOR拡張

レベル4

EDCORT

商品企画、商品開発、設計・試作、修正プロセス

DCORの下のレベル4

プロセス機能、インプット(発生元)、アウトプット(行き先)、コントロール(業務ルール)、組織

(株)現プロセスデザインエンジニアリング社2011年発表、Ver1.0

http://process-design-eng.com

  上記のESCORT、EDCORTは業務参照モデルを構成する一部です。

PCF (Process Classification Framework)

  米国APQC(American Productivity and Quality Center) が開発した、プロセスベンチマーキング用のプロセス一覧がPCFです。対象業務領域は、タテの機能として戦略立案、戦略計画、計画管理、業務実行まで、ヨコの機能としてサプライチェーンやナレッジマネジメントまで含んで企業の全業務にわたっています。

  ただし、プロセス機能やインプット・アウトプットなどのプロセス構成要素は定義されていないので、厳密にはプロセス参照モデルとはいえません。しかしながら、SCOR/DCORやVRMがカバーしていない業務領域に利用できます。業務参照モデルは、PCFをプロセス参照モデルにまで仕上げたものです。

 

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