業務参照モデルに関する補足説明のコーナーです。

別ブログにて、ビジネスアナリストにとっての適用分野の業務の知識・スキルの特性超上流SEやビジネスアナリストへ業務スキルの養成方法、についてのべました。本ブログでは、どの程度の業務知識があればよいのか、私見をのべたいと思います。

これは商品の品揃えと同じで、4つのパターンが考えられます。即ち、①狭い業務を浅く、②狭い業務を深く、③広い業務を浅く、④広い業務を深く、このいずれかでしょう。①はビジネスアナリストとしては不合格、④はスーパーマンでなければ無理ですね。

②は、ビジネスアナリストというより、生産現場改善のような専門コンサルタントとなります。たとえば、溶接の仕方を手取り足取り、教えるような。

上流SEは、①狭い業務を浅く、で済みます。しかし、超上流SEビジネスナリストとしては、③広い業務を浅く、というパターンとなります。たとえ、SE出身のビジネスアナリストであろうと、取り扱うプロセスの範囲は、IT系だけでなく人間系・意思決定系プロセスも含みます。そして、業務の範囲も、幅広く構える必要があります。

1.業務知識は業務に関するコミュニケーション言語

(1)超上流SEやビジネスアナリストは、相手とコミュニケーションする

業務の用語が理解できなければ、相手とコミュニケーションできません。

(2)実際に業務を遂行する訳ではなく、相手をファシリテーションする

業務担当者のように、実際に業務を遂行する役割だと、狭く深い業務知識、それもスキルが必要になります。しかし、超上流SEやビジネスアナリストの仕事はそうではなく、業務知識からの質問によって業務課題を引き出したり、プロセスモデリングを通じて欠落しているプロセスやルールに気付いてもらうとか、解決策の検討を支援したりします。

2.深い業務知識が不要な理由

私の経験からすれば、超上流SEやビジネスアナリストには深い業務知識は不要です。

①質問できればよい

質問するというのは、相手を尊重しているという強力なシグナルで、信頼関係の構築に大変に重要なテクニックです。質問は、肯定的な非接触的触れ合いという非言語コミュニケーションの意味合いも持つと言われています。ヒアリングでは、信頼獲得はできません。そして、相手からの回答には、とにかく「あいづち」を打ち、気持ち良く話してもらうことです。人は、とにかく「自分のことを話したい」ものなのです。

私の経験では、質問の言葉が全て終わらないうちに、相手が話し始めてしまうことがよくありました。また、こちらを馬鹿にして斜に構えていた相手が、ある質問を境に身を乗り出して、真摯に対応し始めたこともありました。そして、質問事項が決まっていても、自分でチェックリストのように答えてもらうのと、同じ項目を質問されるのでは、後者の方が約2倍の情報を引き出せることが分かりました。

②相手より「深い」必要はない

要求開発やビジネスアナリシスは、相手に自分の業務知識を認めさせる場ではありません。まして「・・・・すべきだ」なんて言うのは論外です。あくまで、相手の組織や相手自身の問題解決を支援する立場です。もし、私が逆の立場で「・・・すべきだ」と言われたら、私は絶対にそれを受れ入ないでしょう。

私は、相手より深い業務知識を持ったことはありませんが、運悪く持ってしまった場合にはそれを見せない、出さないようにするでしょうね。そして、相手の方がより深ければ、相手に感心して尊重できますし。

3.広い業務知識が必要な理由

私の経験からすると、超上流SEやビジネスアナリストには、浅くてもよいから幅広い業務知識が必要となります。

①問題の根本原因が別の業務に存在する場合がある

業務の範囲も購買だけ会計だけという訳にはいきません。たとえば、財務会計の業務課題の根本原因が、購買業務に存在している場合とかがあるからです。

②狭い業務知識しかないと、プロジェクト編成がむずかしい

つぶしが利かないコンサルタントは配置がむずかしく、場合によっては別のコンサルタントが入って、自分がクビになる可能性もあります。

私の場合は、幅広い業務知識によって、「岡目八目」の存在を務めています。ベテランの営業マンから、「そうかこのプロセスがないから、自分もうまく行ったり行かなかったりするんだ」、との発言が飛び出したことがあります。

4.階層的に体系化された業務知識が必要な理由

ビジネスアナリストの場合、相手が、事業部長、部長、課長、係長、担当者と時に応じて様々となります。部長とコミュニケーションする場合と業務担当者の場合とでは、必要な業務知識の詳細さ、すなわち粒度が異なります。したがって、業務やビジネスプロセスに対する知識は、相手の職位に応じて階層的に体系化されている必要があります。上流SEも全ての職位ではないにしても同様。

私の場合は、相手の職位によって、業務知識を階層別に使い分けます。

幅広く階層的に体系化された業務知識を習得するには、「業務参照モデル」を利用すればよいのです。その業務分野を手掛けない場合は、全て忘れていて構いません。それを手掛ける際に、必要な業務分野のプロセスフロー、プロセス機能、業務ルールや業務用語などを取り出して思い出せばいいのです。ただし、プロセスではなく、言葉の概念だけの業務知識ならば、一旦、忘れると、もう思い出せません。  

 

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