業務参照モデルに関する補足説明のコーナーです。

ビジネスアナリストやSEは、相手企業の独自の課題を解決しなければなりません。そして、相手企業の方は「うちの会社の業務は特別だ」とよく言います。しかしながら、業務の約80%は他と共通性があることを経験上で知っていますので、心の中で「よそと同じなのに」と思います(しかし言いません)。だから、共通業務的な業務参照モデルが有用なのです。本ブログでは、その企業の業務特性に何が影響するか、そして、ビジネスアナリストやSEが、これにどう対応すべきかをのべましょう。

1.業界、業種、業態、業務の概念の整理
(1)業種

企業を取扱商品の種類、および流通チャネル上での役割を説明したもの。たとえば、食品製造、食品卸、食品スーパー。

(2)業態

企業を業種の中で、その製造形態や営業形態によって説明したもの。 たとえば、食品製造では、自社ブランドの見込生産、PBの受注生産の形態があります。食品卸では、食品輸入商社という形態もありますし、食品の小売りでは食品スーパー以外にもコンビニ(CVS)や百貨店(食品部門)などの形態もあります。

(3)業界

企業を業種を超えて、取扱商品の種類でくくったもの。たとえば、食品業界には、食品製造、食品卸、食品スーパーなどを含みます。 

(4)業務

これは、企業がその事業に関して、日常、継続して行う仕事、行うべき仕事[広辞苑]。たとえば、生産、調達、販売など様々な種類があります。仕入が調達と異なるのは、前者が商品を対象とし、後者が原材料や部品を対象とするだけで、この2つは同一です。また、ある製造メーカでは、約8割の汎用的な製品はサプライヤに製造させ、自らは完成品の検査だけを行っています。この場合の、調達は仕入と全く同じです。

私自身は、あまり相手企業の業界・業種・業態を意識したことはありません。産業車両メーカ、楽器メーカ、製薬会社、運送機械メーカ、自動車部品メーカ、非鉄金属メーカ、一般機械メーカー、食品スーパー、日用雑貨卸、ノンバンク、損害保険、リース会社など様々です。

2.その企業独自の業務

私は、まず、その業界・業種・業態を理解するために、一般的な書籍でこれを知ります。リクルート用の解説本が最新動向もあり、よくまとまっていますので、これを何冊か読みます。

コンサルタントやSEは、相手企業が独自に抱える業務上の問題・課題を解決するのが仕事です。したがって、業界・業種・業態という共通的なことではなく、その企業の独自の業務特性に踏み込まなければなりません。したがって、相手が「うちの会社の問題・課題は独自だ」という言い方の方が正しいでしょう。

業務参照モデルは、業界も超えた共通的な業務機能です。そして、企業が実施しているそれぞれの業務の特性は、取り扱う商品・サービス、取引先、企業規模・拠点数 によって変わってきます。

3.その企業独自の業務にどう対応するか

(1)その企業の事業特性の把握

このために、GUTSY-4では一番最初の成果物として用語集、スコープ全体図(ステークホルダ関連図)バリューチェーン特性<現状>を作成します。スコープ全体図は、重要な外部ステークホルダ(サプライヤ、顧客など)を識別するためであり、バリューチェーン特性はその企業特有のサプライヤ特性、製品・サービスと市場の特性、顧客特性を把握するためです。

サプライヤ特性(サプライヤのサプライヤも含め)

製造上で重要な調達品目に関するサプライヤと特性、調達上の制約、重視するパフォーマンス指標など、この詳細を調査します。

製品・サービスの特性

重要な製造・販売品目と特性、その市場競争力、製造・販売上の制約、重視するパフォーマンス指標など、この詳細を調査します。

顧客特性(顧客の顧客も含め)

重要な顧客と特性、物流上の制約、顧客が重視するパフォーマンス指標など、この詳細を調査します。

(2)その企業の事業特性をもとに、業務特性の把握

バリューチェーン特性調査シートでは、まずこの3点についてそれぞれ定められた質問項目によって詳細を把握した上で、次に態(調達)、受注態、態、納入形態、在庫形態の特性を調査します。そうすれば、業務参照モデルに記述されている各々の業務機能について、その企業の事業特性からどのような影響を受けているか、その企業独自の業務特性を把握できます。

業務参照モデルは、業務に関する共通部品(一般的な80%をカバー)です。業種・業態における業務はこの組み合わせの例に過ぎません。この例が業種別パッケージですが、共通的な業務機能を組み合わせたERPパッケージに世界的に取って代わられるようになってきました。(注)日本でのERP導入トラブルは別の原因

また、企業は、全く異なる商品・サービスを取り扱っている場合があり、そうなると複数の業界・業種・業態にまたがって、自らの業務を行わなければならないこともあります。

 

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