GUTSY-4の業務参照モデルに含まれるプロセス参照モデルは、どの企業にも共通する汎化(汎用化、一般化)されたものです。一方、企業は組織構成も取り扱うモノでも異なる特化(特殊化、専門化)されたものです。抽象化・汎化された型から、より具体化した型に開発を進めるのが特化です。

1.私の特化と汎化の経験

  日本では特化・専門化がもてはやされますが、海外では異なります。私がSE時代、どの顧客に行っても聞かされたのが「うちは特殊ですから」。しかし、分析が終わるとほとんど他社と同じという結論になりました。

  海外では、その企業用に特化されたSAPアドオンはオペレータが拒否します。汎化されたSAPの面倒な画面を操作できるのは自分のスキルとして経歴書に書けますが、いくらSAPアドオンを操作できても転職の際にはスキルにならないからです。

  たとえば、ビジネスプロセスでは、特化と汎化の割合はどの位あるのでしょうか? 吉原賢治著「ビジネスモデル入門」では、見込生産組立型消費財製造業の場合に、実行プロセスとなるレベル5だと、80%が他企業と共通、即ち汎化されていると述べています。それはそうでしょう。そうでなければ、パッケージソフトウェアなぞ存在しえないからです。

2.自分の経験を汎化することが生き残る道

  GUTSY-4のプロセス参照モデルは、よくベテランの人から、あの記述がない、これが不足しているとケチをつけられます。しかし、彼は自分の知識・経験を形式知化と汎化できず、せずにブラックボックスにしている状態で安住しているのです。その企業が人員整理や倒産したら、彼の知識・経験はぴったり合う企業でなければ通用しません。それが自分で分かっているから、まず心理的な拒否から始まります。

  花王は次々に企業改革を繰り返します。亡くなられた橋山さんから「花王では自分の仕事や組織を不要にした人が出世する」と聞きました。「特化」によるマイナス面、現状への安住や心理的拒否を許さない企業文化があるからでしょう。

  日本がこのまま永続するならばそれでもいいでしょう。2020年には、特にIT業界は半分になると言われています。すなわち、2人に1人は失業する訳です。日本企業がどんどん国際競争力を失っているからです。米国の半分のIT投資対効果しか上げられないのに、日本企業がいつまでもIT投資をする余力は無くなるからです。

  2020年にはAIが相当に発達するでしょう。既に、将棋だけでなく碁でもAIがプロ棋士のトップに勝ち始めました。発達したAIが専門家の特化された能力の8割をカバーできるでしょう。ビジネスマンは、自分が経験から得た特化能力を更に残り2割の高みに高めるか、あるいはそれを汎化、抽象化して、「つぶしが利く」ようにするかどちらかです。

  8割に該当する人は、業務参照モデルを利用して、自分の特化された能力を抽象化、汎化すればいいのです。AIでカバーできるような特化能力にしがみついていては、生き残れません。自分の人生を切り変える時です。自己防御の心理的抵抗にコントロールされて、自分の可能性を狭めてしまうことは止めませんか。