現状の業務プロセスを記述や設計する場合には、一般的に2つの方法があります。プロセス階層レベルでいうと、レベル4、またはレベル5のどちらの詳細さ(粒度)を起点とするかです。

  この2つを事例で比較してみましょう。

1.いきなりレベル5の粒度で設計する

  プロセスの実行レベルであるレベル5では通常処理以外に、組織、取引先、取扱製品によって異なる、様々な代替・例外処理があります。

  保険会社の事例では、担当者やチームといった組織単位では、特定の保険商品への対応を最優先してレベル5プロセスを最適化設計します。

  ところが、複数商品を取り扱わなければならない、課や係りといった組織単位では、当然として、人のローテーションも容易、かつ業務ルールも共通なように、できるだけレベル4プロセスとして共通化設計したいと考えます。

  その結果、商品ごとに最適化設計されたレベル5プロセスは修正せざるを得なくなります。そして、部分最適化のレベル5と共通化設計のレベル4との間で行ったりきたりして、最終的に設計を終えるのにかなりの時間を要してしまいました。

2.レベル4の粒度で設計し、これを基にレベル5プロセスを設計する

  事例Aの今野製作所では第2期として、「顧客サービス、返品、修理、クレーム調査」のプロセスを確立させて、かつ離れた3拠点で受付や対応しなければならないので、IT化することになりました。

  やはり、第1期と同様に業務参照モデルを適用しながら、レベル1からレベル3まで、そしてレベル4と、様々な業務課題の解決をはかりながら、階層的に新しいレベル4プロセスを設計しました。この際に、たとえば、返品、修理やクレーム調査の場合に、現品を引き取る必要がありこれを共通化した。クレーム調査や修理の際には、現品を調査・検査する必要がありこれも共通です。

  レベル5プロセス設計はユーザ側が行うことになり、リーダは共通化設計されたレベル4プロセスをブレークダウンして、レベル5プロセスとしてクラウドサービスのBPMS上にプロトタイプを設計・開発しました。

  そして、各業務の担当者を集めたワークショップを何回か開催し、プロトタイプを検討しました。その際には、現状のレベル5プロセスから引き続き必要な処理も明確になり、これを調査・取り込んでプロタイプを修正して、約3カ月間で新たなレベル5プロセスを設計(BPMS上に開発)させた。

  ユーザ側のリーダは、「レベル4プロセス設計を経ていたので、プロトタイプの開発、検討や修正時にも、右往左往せずに済んだ」と、3カ月間でレベル5設計とIT化を完成できた理由を述べました。