前ブログ:働き方改革は、掛け声だけで出来るのか? において、『「企業内の各組織の役割・機能、それを担う個人の役割・責任」という企業活動全体が「見える化」されていなければ、幹部会議で議論もできないし、個人の評価も出来ません。』と述べました。

  かって日本企業の特質と言われた非明示的な管理方式は、今や、個人に長時間労働を強いるだけでなく、日本企業の国際競争力自体を弱めています。

  日本人の1時間当たり付加価値がOECD35カ国中22位なのは、日本人の能力が低いのでも、働きが悪いからでもありません。経営幹部と一般社員、男性と女性、正規社員と非正規社員、日本本社と海外拠点、日本文化と他の海外の文化。企業活動自体が見える化されていないため、各々が「自分は何をなすべきか」が分からないのです。

1.マーケティングで良く引用される「ランチェスターの法則

  この第一法則では、兵力数で劣る2位以下の弱者は局地戦に持ち込めば、兵力のあたりの武器効率で上回ることで兵力数に劣っていても戦いに勝てる場合があるというものです。桶狭間の奇襲、背水の陣で兵を死にもの狂いにさせる、とか色々な事例があります。

  装備に劣る日本軍が太平洋戦争の初期段階で勝利したり、戦後の高度成長期に日本企業が躍進したのは、日本人の一人当たりの能力や士気が他国よりも平均的に高かったため、この第一法則が当てはまった訳です。

  第二法則では、広域戦で戦えば、弱者が少々とも一人あたりの武器効率が高くとも、強者への勝ち目はないということです。太平洋戦争では、日本の優秀なゼロ戦闘機に対して、米国はグラマン10機で囲んで撃墜するという戦法を取りました。広域戦では、精神力だけでは勝てないということです。

  経済では、高度成長期が過ぎてグローバル市場という広域戦になった時も、日本企業は企業活動のインフラにおいて非明示的な管理方式を採用し続けたため、兵力あたりの「武器効率」が欧米企業に比べてどんどん低下してしまったのです。この具体的数字が、OECDで発表されただけです。

  企業活動でいえば、武器効率は一人あたりの生産性に該当するでしょう。それを左右するのは、一人あたりの能力、その働きを組織的に無駄にせず活かすための企業基盤(明示的な管理方式)、そして、働きの成果が成功する方向へ向かうための戦略ですね。

 

2.働き方改革の第一歩は仕事の「見える化」から

  世界で22位という屈辱的な生産性を向上させるための働き方改革の第一歩は、一人一人の働きを有効にするための仕事の「見える化」です。これによって、無駄な機能重複重要機能の欠落が洗い出せるのです。昔から、日本企業では、成り行きに任せて組織編成するので、野球でたとえるとショートが二人いたり、センター守備が誰も居なかったりすると言われています。したがって、一時期、「見える化」が騒がれた時期がありましたが、その本質を理解した企業はあまりなく、ほとんどブームで終わってしまいました。

  この「見える化」の対象は、私が取り組んでいるビジネスプロセス機能やルール(注1)、従業員の評価と反映(注2)、組織の役割と評価、経営者の評価と報酬・・・・など色々あります。今、話題の「忖度」は見える化されていない故に発生する日本特有の無駄な仕事(注3)ですので、英訳に相当に困ったようです。一般企業でも発生している忖度は生産性を相当に低下させることが指摘されています。⇒プレジデントオンライン2017年06月20日(残念ながら削除されました) 

 (注1)欧米グローバル企業は、広域戦の武器として、レベル4までの自社の標準プロセスを保持しています。ITでいえば、EA(エンタープライズアーキテクチャ)です。

 (注2)年功序列は最悪の制度です。年功を給料に反映するのはまだマシですが、年功によって指導力がない管理職や経営者が誕生したら武器効率は悪くなる一方で広域戦に勝てる訳がありません。太平洋戦争のガダルカナル戦では、兵力逐次投入というお馬鹿な司令官のセイで、何万人もの兵が無駄に死にました。

 (注3)後に追究されることを恐れて、不必要だと思うが一応やって備えておくべき「保険仕事」とも呼ばれる。 

 

      1960-1980年代に優秀な日本人による製品を輸出する局地戦では日本は勝ちました。1990年代以降韓国・中国を含めたグローバルな広域戦では、日本企業は負け続けです。その理由は明白なのに、克服できないのが情けない!