前ブログでは、一般ビジネスマンに必要な抽象化能力について述べましたが、本ブログでは、経営幹部に必要な抽象化能力を前提としてシステム思考について述べてみたいと思います。これは、働き方改革以前に、正しい経営上の意思決定を行うために不可欠です。

事例1

  売上800億円の製造業で、役員がシステム思考できずに「新工場建設」と誤った経営判断をしてリーマンショックを迎えた事例も目撃しました。

      第2次世界大戦では、米軍の司令官達は現実の戦闘を抽象化した兵棋図(『坂の上の雲』にも出てきた)を作成してシステム思考しています。いくら現場や兵が頑張っても局所戦では勝つことがあっても、経営幹部や司令官が抽象化とシステム思考ができなければ、広域戦には勝てません。

事例2

  売上5000億円の製造業で、本社が幹部としての教育せずに現地に日本人工場長を送り込みました。その後、急激な円高対応のための大増産に踏み切り、何とか4倍までは行ったが10倍増産できずに失敗。原因は、工場長がシステム思考できなかったのですが、そもそも本社が大きな課題を現地工場長に丸投げしたからです。

  10倍増産は誰でも失敗するだろうことについて、お人好しの彼は責任を一人で背負わされたのでした。後にシステム思考を知った彼の無念さは計り知れません。日本企業はなぜ経営幹部に抽象化能力とシステム思考を教育しないのでしょうか? 

  上記の2つは、私の身近に発生した例ですが、これは複雑な構造のシステムに対する「システム思考と8つの原型」で説明できます。『最強組織の法則』ピーター・M・センゲ著、徳間書店、1995

  事例1は、8つの原型のうちの対症療法的問題解決という「問題のすり替え」の失敗例。

  事例2は、8つの原型のうちの成長限界+問題の擦り替えという「成長と過少投資」の失敗例。

  これらの手法は、ビジネスアナリシス方法論GUTSY-4コンテンツの論理思考編に内蔵されています。または、上記の書籍を読んで下さい。

 

  また、このシステム思考以外にも、「TOC思考プロセス」という手法があります。

  現状の問題の因果関係を解析するための現状分析ツリー、およびその根本原因についての解決策をレビューするための未来実現ツリーを描きます。この手法もGUTSY-4に内蔵しています。

  ただし、GUTSY-4ではこの2つの手法において、複数の事象について同一の粒度(すなわちプロセス階層レベル)で因果関係を描きます。そうでないと、「風が吹けば桶屋が儲かる」のようなコジツケの論理展開になってしまうからです。著名コンサル会社の若手がKJ法の不完全な使用によって、コジツケ論理を展開しているのを第三者レビューしたことがあります。

  4-6月は、人事異動や役員選出の季節。昇進したと喜んでばかりいられません。これらはあなたの身の上に起きることかも知れません。GEならばクロトンビルの上級管理職の研修プログラムで教育してくれますが、日本企業では我が身は自分で守りましょう。ランダムにビジネス書を読んでも、気休めにはなりますが実際には役立ちません。