日本企業がレベル4の標準プロセスを持っていない、これが個人と企業全体のパフォーマンスを低下させています。経済活動が局所戦であった高度成長時代はこれでも戦えました。しかし、1990年代の広域戦になった途端、日本企業が負け続けるのは当然です。

  私は、2003年頃にサプライチェーン(調達、製造、受注・出荷)のプロセス参照モデルSCORを学びました。そして、大きく湧いた疑問は「なぜ、プロセス階層でレベル3までしかないのだろうか?」でした。⇒プロセス階層レベルとは

  それを契機に、人生の大きな賭け「GUTSY-4業務参照モデル」レベル1~4までの開発に取り組んだ訳です。そして、マーケティング、人的販売、商品企画開発、設計・試作、サプライチェーン、顧客サービスと、合計930個のプロセスをプロセス図と詳細記述書に定義し、実際のプロジェクトに適用しこれを反映するという、大変な労力をかけてバージョンUPし続けています。⇒2.2 業務参照モデルの利用方法 (2.2.1 プロセス図、2.2.2 プロセス詳細記述)

 

1.欧米企業は自社のレベル4までの標準プロセスを持っている

(1) 欧米企業内には、性別だけでなく様々な年齢、宗教、人種の人達が働いています。そして平均勤続年数が約5年。そうした人達が、統一された用語、標準プロセスが無ければ、一緒に働けません。

     また、この標準プロセスには対応するKPIも定義されています。

(2) 人の採用や評価をするのに職務記述が必要で、当然、自社の標準プロセスと結びついています。それと異なる人事評価をすれば、すぐに会社は裁判を起こされてしまい、おまけに高額の懲罰的賠償金。

(3) 企業がグローバル活動するのには、その統制のためのレベル4の標準プロセスが不可欠。

 レベル5は製品、取引先、国別制度などに左右されてしまうので、放置すればどんどん個別最適になってしまう。レベル1~3プロセスを経たレベル4の標準プロセスによって、レベル5を全体最適に統制できるのです。

(4) アジャイル開発、人間系BPMS(これもアジャイル)での開発は、そうしたレベル4標準プロセスをユーザ全員が理解・共有していることを前提としています。

(5) EAはビジネスプロセスの標準リファレンスBAを前提としている。当然、欧米の各企業はそれを標準プロセスとして保持しています。

(6) 新事業に進出する際に、先ずビジネスプロセスを設計し、これによるリードタイム等で事業目標を達成できるかどうかシミュレーションします。だから、そのためのプロセスシュミレータ購入に2,000万円かけても、新事業に失敗するよりも遥かに安くつくからです。

(7) IoTやインダストリ4.0では企業連携がベース。その連携プロセスも連携評価も明確にしなければなりません。

【海外企業に勤めた友人から】

・レベル4の標準プロセスは、これを破ると即「クビ」になる。

・海外では優秀な現地人は日本企業に勤めない。職務範囲と評価基準が曖昧で、頑張っても報われないから。

2.日本企業が抱える大きな弊害

  日本企業がレベル4の標準プロセスを持たない弊害は、下記のような大きな弊害を生んでいます。

上記(1) 日本企業では用語集は無し、勿論、標準プロセスもない。これで、経営会議で議論はできません。あなたの会社では、マーケティングと商品開発は同じ、違う?

上記(2)   年功序列、年功賃金、定年制。これは悪平等です。しかし、公平だと言えますか?

上記(3)   海外の新工場は日本人スタッフが居る間は上手く動く、しかし彼らが引き揚げ帰国すると途端にダメ。暗黙知は伝わったの?

上記(3)   日本企業は細かな例外処理で市場シェアを伸ばしてきました。しかし、個別最適ではグローバル競争はできません。三菱自動車、シャープ、東芝の破綻の根本原因は?、次の番は神鋼?

上記(4)   着地点や完了点が見えないアジャイル開発、この前提条件を理解せずに適用しようとする。では、本当にアジャイルになったの?

上記(5)   IT投資のかなりの金額が例外処理に費やされ効果が小さい。ある企業ではERP導入費用全体の2/3を、世界の1/3の売上しかない日本でアドオン開発等に費やした。その効果で売上2倍になったの?

上記(6)   日本企業の新事業は、製品自体の競争力以外は出たとこ勝負? 撤退を考慮しない神風特攻精神が今も健在?

上記(7)   IoTやインダストリ4.0では、このままでは日本企業は世界の下請け企業になるしかありません。構成部品に過ぎない技術は買い叩かれてしまうのがオチ。

  上記での標準がなく例外処理の山、これが「日本の労働生産性が米国の50-70%」の根本原因です。すなわち、日本は終身雇用のため、効率の悪い、あるいは価値を疑われる例外処理が綿々と残って行きます。米国では、レベル5を担当するワーカーはほぼ5年ごとに転職で入れ替わるため、例外処理が引き継がれずにリセットされていく、思わぬ好循環(笑)。   

  私が経営企画部長で改革を提案した時に、金融機関出の役員が「もし何かあったらどうするんだ」と反対。スイカ畑を作っていた父の実家では、夏に必ずスイカ泥棒に1夜に2個ほどやられる、でもそのために見張りを雇ったら盗まれたスイカ代どころではありません。自分の家業やカネでは決してやらないような過剰対策、これを会社のカネなら堂々とつぎ込む。私はヒラ部長でしたが、この常務を「無責任野郎」と軽蔑していました。

 

  企業活動の機能マップ(組織図は粗過ぎて不十分)、即ち仕事の地図に相当するレベル4の標準プロセスが無いまま (注) たとえば「部」はレベル2に相当

       ・仕事の省略、重複や不足も解決せずに、ただ「働き方改革」と称して時間短縮を行えば? ⇒働き方改革のためには(個人編・組織編のまとめ)

  ・日本企業が海外拠点を統制できますか? 世界中にグローバル展開し現地の人が効果的に活動できますか? 

  ・日本が人口が減るなかで1,000兆円の国の借金を返せると思いますか?