ウェッジ4月号の中に日本の労働生産性は、米国の50-70%と書かれていました。ここでは、表層的議論しかされていない「働き方改革」と離れてみましょう。

  私は、日本が失っている労働生産性30-50%、この大きな原因は、下の3つだと考えます。

1.戦略・方針の曖昧さ

  これは第2次世界大戦を分析した『失敗の本質』に克明に書かれています。先の大戦では、お粗末な戦略・戦術で300万人が戦死した訳です。私の家族は敗戦後の満州からの逃避行で3人が死んだ。

  現代でいえば、「忖度」が生まれる根本原因。ある2兆円企業、社長がマスコミにぶち上げた戦略が曖昧だし社内で議論もされていないため、各事業部長は忖度して想像をめぐらして対応しようとした。それがエレベータのように、次々と下の役職に降ろされていく。

  戦略・方針を立案できなければ、優秀なミドルマネジメントと一緒に、明確にすればよいのに。⇒ブログ:2.トップダウンとボトムアップの融合

  プロ野球ならば、「ベンチがアホだから野球ができへん」で済みましたが。でも、そのベンチは成績不振だと、監督経験の無い栗山氏を日本ハムは外部から登用しました。 

2.本当のコミュニケーションができない

  「日本語だから通じている」は、若い世代とは無理! 新入社員の高橋まつりさんは日本にさえ生まれなければの悲劇。

      社内の用語集もないと⇒ブログ:1.企業内で用語が通じない 何種類もある納期という用語、ある大企業の社内会議で「□□事業部が言う納期」は、一体どの納期の意味? これでは会議にならない! 自社の用語集もないので、たとえば品質とグレードの混同などしていては経営会議になりません。それでもいいのだ「空気を読めば」か。

  ある中小企業では、「特注品」の意味が、営業部門、設計部門、製造部門で異なっていたが、当然これを統一しました。

   私は英語が弱い(中高大と8年間勉強したが)。しかし、ヨーロッパに4年間も駐在していた人が、「ビジネスアナリシスはダメだ。分析だから。」これにはズッコケました。海外にいる間中、頭の中は日本語だったのか、これこそダメだ! 

3.例外処理の多さ

  日本では顧客第一主義とか何とかいって例外処理が多い。それが顧客にとっての本当の価値なのかを問い直すことなく、優秀な日本人は、綿々と例外処理を継続していく。IT導入でいえば、無くすべき例外処理をIT化する結果、IT投資効果は米国の1/2以下となる。製薬メーカーにおいて、世界の1/3の売上しかない日本で、IT導入では2/3の費用を費やしたと。

  米国では、平均勤続年数が5年。新任者はややこしい事はできないため、例外処理は周期的・定期的にリセットされていく。したがって、IT導入はパッケージソフトウェアそのままで済んでしまう。

  米国企業と決済した時に、私のクレジットカードは無効だと言われました。単に事務員が有効年月を逆に入力しただけ。しかし、その低レベルの米国よりも、優秀な筈の日本人の方が生産性が30-50%も低いというのはどういう訳? 誰が悪いのか、ベンチでしょうね?

4.まとめ

  以上の3点は、現在の地球規模のグローバル競争では大きな問題点となります。だから、日本企業は負け続け、シャープ、タカタ、神戸製鋼、日産・・・・・。

  戦後まもない日本から輸出するだけの局所戦では、戦略が限定されるため上記1は問題とはなりません。そして、日本国内のコミュニケーションだけで済むので上記2も問題とはなりません。そして、上記3によって製品コストが上昇してもまだ競争も少ないため価格転嫁できました。

  現在は、局所戦で勝ったが広域戦になって負け続けた第2次世界大戦と酷似しています。優秀な終身雇用の日本人が、そんなでもなく平均勤続年数5年の米国人よりも、なぜ4割ほども時間あたり生産性が低いのか

  よくいわれる「意識改革」は大的外れ、意識ではなく仕組みの問題だから。最近の新聞の記事「生産性革命」も的外れ、そんなに大きな投資せずとも「出来る!」のに。