スマホに、「神鋼よ、信頼回復は町工場の誇りに学べ」と産経新聞の論説委員の鹿間孝一氏の記事が配信されました。

  残念ながら、精神を学べば防止できるほど、なまやさしい問題ではありません。町工場には定年がありませんので、その暗黙知が継続します。大企業は定年がありますので、その暗黙知を後継の世代に引き継がねばなりません。誇りなどという精神論で済む問題ではありません。

  他にも、日産自動車、三菱自動車、タカタ・・・・・。日本株式会社の構造ゆえの「軋み」でしょう。日本人個人の優秀さに甘んじて、組織としての仕事の仕組みの構築を放棄してきたからです。日本人の時間当たり生産性は米国人の4割ほど低いと言われています。これは日本人が米国人に比べて、能力が劣るからでしょうか、それとも仕事への意識が低いから?

  仕事の仕組み、即ちビジネスプロセスでいえば、日産の「完成検査」は、業務参照モデルのレベル3では、「4.3.7 製品移管」という製造の最後のプロセスとなります。私が開発したビジネスプロセスの記述要素、すなわちメタモデルでは、⑥担当責任組織に「⑥2.必要スキル・ナレッジ」という項目があります。ここが、自動車の検査員資格という記述になる訳です。ちなみに、このプロセスでは、金属業界では最終的な鋼材ミルシートの作成を行うものです。

  私は、日本企業が自社のビジネスプロセスを「見える化」できていない、これがこうした不祥事の発生、そして諸外国と比較して低い生産性の根本原因だと考えます。欧米企業は、人種や文化が異なる社員を抱えるために、自社の標準ビジネスプロセスの制定に、20-30年を費やしてきています。米国では平均勤続年数が5年なのに、終身雇用の日本と比べてなぜ生産性が4割も高いのか? 日本が怠ってきた「見える化」などによる企業基盤の力の差なのです。ビジネスプロセスを業務手順と混同している経営トップは、広辞苑を引いて欲しい。続き⇒(追記1

  在米25余年の友人、日本電機メーカーから今はインド企業に勤務の友人が、「日本企業の仕組みは石垣、海外企業の仕組みはレンガ積」、これが現代に不適合を起こしていると言いました。全く同感です。低い生産性、コンプライアンス違反、両方共、同じ根本原因です。そして、電通の新入社員の自殺も。

 

  石垣作りとレンガ積みの図を掲載します。これを日本企業と欧米企業に当てはめてみて下さい。少し、私のコメントが付いていますが、ご自分なりに。

  下記の写真は西洋のお城ですが、ピラミッドと置き換えても同じです。石垣の城は500年、ピラミッドの石積は5000年の歴史だとのアドバイスを受けました。なるほど!

 石垣の城とレンガの城.jpg

 

追記1)丁度20年前位に、米国で『Visionary Manufacturing Challenge for 2020』なるレポートが出されました。どんな製品もプロセスもやがて他社にキャッチアップされる。結局は、最後に重要なのは「人」だと・・・・・このレポートでは言っていました。

  米国のエクセレントカンパニーはイノベーションのために、昔はスリーエムの「15%は本業以外の仕事をしてもよい」から、デュポンの「30%は本業以外の仕事をしなければならない」のように変わってきました。これは、「人」が持つ潜在能力を引き出すためです。

  一方、プロセスの見える化や標準化など企業基盤の整備を怠ってきた日本企業は、日本人の折角の能力を無駄遣いしながら、2020年を待たずして負け続け始めました。何とかせねば!!!!