仕事の「見える化」は、全ての企業活動の基本です。以前に流行語のように「見える化」が言われましたが、実際に取り組んだ企業はほとんどありませんでした。

  GUTSY-4の「見える化」では、ビジネスプロセスや業務ルール、それを実施する組織などを明確に文書化します。どの経営機能や業務機能まで、あるいはどの組織について、詳細に「見える化」するかは、その目的によって異なります。しかしながら、「見える化」されていなければ、特定組織のパフォーマンスが悪いと思ったが、実は他の組織からの情報伝達が不十分だったりします。

  "重要な意思決定業務が「見える化」されていない"というブログを書きましたが、実は、主活動たる(グローバルな)サプライチェーン(調達、製造、受注・出荷)でさえ、「見える化」されていません。日本企業の特徴とされる「非明示な管理方式」の一環です。この重大な悪影響は、働き方改革へのすり替えグローバル統制の不能ITシステム導入の効果の小ささ企業のボトルネックの放置など多々あります。

1.「働き方改革」へすり替え

  なぜか「社員自体の働き方が悪いから、時間当たり生産性が世界で22位なのだ、だから社員はもっと効率よく働け」とすり替えられています。正しくは働かせ方改革」です。好き好んで残業する訳はありません。

  企業内で使用する用語でさえ正確に定義した用語集さえ無く、上司が言うことをあれこれ忖度せねばなりません。電通の故高橋まつりさんは、上司によって皆、言うことが違うと悩んだと言います。そして、プロセスが「見える化」されていない地図さえないため、重複した無駄な仕事が溢れ、誰も手を付けていない重要な仕事が欠落しているのです。

  たとえば、日産、神鋼、三菱マテリアルと東レの子会社での品質問題は、製品移管プロセスの欠陥。省略して得た利益に対して、表沙汰になって売上低下と今後の損害賠償、どちらが大きい? 

  ・日産、神鋼、三菱マテリアルや東レの子会社での品質問題は、どのプロセスか?⇒ブログ参照

    何年か前、コンビナート爆発事件の際に、経営トップは「作業手順が誤っていた」と誤った発言。そもそも安全確認のプロセス機能の欠落、同じ事の繰り返し。

  ・働き方改革(組織編)の第一歩は、意識改革ではなく、単に仕事の「見える化」⇒ブログ参照  

2.グローバル統制できない

 「見える化」やグローバルな標準プロセス・ルールが無くして、人種・文化・宗教が異なる世界各国拠点の人達を束ねて、どうやって日本本社の方針を海外子会社に伝達・実施させるのか、これは想像さえつきません。

  ここが、日本企業とグローバル企業の圧倒的な差です。また「見える化」されていないので、業務監査が全く機能していません。ISOも取得しているのに、品質監査も。

  ・某グローバル企業の場合、業務監査の結果、標準プロセスに違反していると見なされると、その事業部長はいくら好業績をあげていても、即「クビ」。そうでなけば、世界120カ国の子会社をグローバル統制できないからです。

  ・高い金額で海外企業を買収しても、プロセス標準化せずば日本本社との相乗効果なぞ到底、望めません。むしろ、投資案件と買収に走った東芝、日本郵政など買収の失敗事例が目に付きます。

  日本企業には標準たるレベル4プロセスがない・・・・この甚大な弊害⇒ブログ参照

3.投資対効果の低いITシステム導入

  標準プロセスがなくビジネスプロセスが「見える化」もされていないため、日本企業でのIT導入は投資対効果が実に悪いものになっています。米国企業と比較する約半分程の効果しかありません⇒ブログ:日本のIT投資の価値は米国の半分以下

  これはマクロ統計ですが、個別企業においても同様です。ERP導入では世界の1/3の売上しかない日本で、ERP導入費用の2/3を費やした企業があります。プロセスが標準化されていないため、効果の小さな例外処理に多くの費用をかけているのが実情です。業務担当者としては「機能が無くなると困る」、でも倍の費用をかける価値があるのか上層部は判断せず。

  また、「見える化」されていないと、企業の重大なボトルネックも特定できません。その状態で、やれAIだ、ビッグデータ分析だと最新ITソリューションに飛びつく羽目になりません。昔はERP、今はIoTとか、まさにはやり物に踊らされてしまいます。先ずヤルベキ事は⇒ブログ参照

 4.イノベーションを引き起こす制度がない

  「見える化」して仕事が標準化されてしまうと、他企業との差別化ができないのではと考える人もいるかも知れません。30-40年前の大昔のエクセレントカンパニーでは「密造酒づくり」や「15%ルール」など、本業以外への取組みが許可されていました。さらに10-20年前には、創造的な仕事をする人は「30%は本業以外の仕事をしなければならない」と言う企業も。しても良いではなく、ねばならない。

  創造的でない仕事は「見える化」し標準化、創造的な仕事へはイノベーションを誘発する制度を付加しています。ドローンが室内を飛び残業を監視し、早期退社を促す・・・・こういう企業からイノベーションが生まれますか?