ユーザ企業がドキュメントの無い業務引き継ぎによって、業務のブラックBOX部分が年々拡大してきました。これによって、ユーザ企業のRFPやIT要求には、多くのヌケや不正確さが潜在しています。

  しかしながら、IT企業は受注活動をせざるを得ません。ITソリューションの種類を問わず、勝負所はシステム分析の前半工程の要求分析です。この要求分析工程において、IT企業がユーザ企業のIT要求のヌケ・不正確性をチェックできれば、まだ交渉の余地があります。

  ここを通過してしまえば、受入テスト段階でユーザ担当者から「この機能がなければ業務が回らない」と言われ、泣く泣く追加開発して赤字開発プロジェクトとなってしまいます。それは、要求分析時にチェックできるものを見逃すと、最終的にその10-20倍の工数を要してしまうからです。そして、まだ要求分析段階でしたら、価格交渉の余地もあります。

  今回、IT企業のシステム分析者の業務経験が浅くても、IT要求のヌケ・不正確性をチェックできる簡易的手法を開発しました。そのために、業務参照モデルのサプライチェーン(調達・製造・受注・出荷)の約300個超のプロセスにおいて、その「ITシステム機能」欄に、標準的なITシステム機能を追記しました。

  過去には、事例4-2において定義されたIT要求に対して、まだ完成度の低い業参照モデルの「プロセス機能」欄を参照して、私がモレや正確性をチェックしました。今回、「ITシステム機能」欄を強化して、これを参照することで、IT要求のヌケの50%は防止できます。ユーザ企業に、下記のように受入適合規準を定義して貰えれば、事例4-2のように100%近くになるでしょう。

M431-201図.jpg

  上図では、提示されたIT要求を受領して、先ず、これに対応する業務参照モデルでのプロセスを特定します。

  通常処理でのIT機能要求チェックでは、「ITシステム機能」欄に記載された要求と突合して、ヌケ・不正確性をチェックします。

  より完全にチェックしたい場合には、代替処理や例外処理に関するIT機能要求、そしてIT非機能要求について、別の技法を適用します。

  以上は、汎用的な業務参照モデルを利用したものですが、IT企業が経験した業界・業種特有のIT要求を蓄積することで、さらに詳細なチェックができます。IT企業こそAIやRPAという前に、まず自社内でナレッジ共有をはかるべきでしょう。AI時代に業界・業種別のSE編制は時代遅れだと感じます。

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