私は、ビジネスアナリシスのテーマで最近は「新製品開発」に注力しています。新製品を開発できなければ、企業の利益率は確実に低下して行くからです。そうなれば、一人当たりの付加価値生産性は、現在の20何位から30位代、40位代に低下して、日本経済はどうなってしまうのでしょうか?

  その第一の理由は、サプライチェーンにおいては、卓越した社長がいれば大きく改革できるからです。シャープはホンハイに買収されましたが、郭台銘会長の先見性やガバナンス力には、元々シャープのサラリーマン経営陣は太刀打ちできません。

  私は、上海でビジネスアナリシス方法論GUTSY-4を3日間、SEに導入研修したことがあります。その中国社員達の優秀さは、日本人の10倍以上です。私が「製造業では仕損品が発生します。病院ではそれはどこに置いてありますか?」と質問すると、10秒くらいで大笑いになります。日本では、60秒くらいかかります。中国は日本の10倍の人口、その中でも優秀なSEが上海に集まっているのです。経営者も年功序列でようやく運よくこれに到達した上がりの人達ではないでしょう。

  第二の理由は、新製品開発は総合力が必要だからです。一人の卓越した人物だけではどうにもなりません。

  エジソンは発明家ですが、事業としては20位の会社を倒産させています。そんな訳で、日本が生き残るためには、「新製品開発」しか残っていないとの消去法からです。マーケティングから未充足の顧客価値を探す、商品企画でそれを満たすコンセプトを立案、新製品開発でそれを実際に設計・実現する、そして迅速なマーケティング市場投入準備と初期生産により市場投入する、最後に市場評価によっては撤退する、一連のプロセスの総合力となります。

  新製品のどれだけ売れるかの成功率は、アイリスオーヤマでも20%と言われていますので、恐らく数%以下でしょう。従って、新製品開発が遅れれば競合企業に市場を取られてしまうし、顧客価値を見誤ればそもそも対象市場やニーズが無い。いずれにしてもスピード勝負です。開発スピードが早ければ、前者は負けるリスクは低くなるし、後者では損失する開発費用が少なくて済みます。

 

  マーケティングを含めて新製品開発の成功率を上げるには、どうしたらよいのでしょうか?

 1.新製品開発のビジネスプロセスを標準化し、見える化やコンカレント開発できるようにする

 2.個別プロセスにおいて個人能力ではなく、自社のベストプラクティスを開発し共有・徹底させる

 3.新製品開発の過程で、マーケティングと販売部門も参加したレビューで常に市場性評価を繰り返す

  読者は、これらだけでは成功率が上がる訳はないと考えるでしょう。

  御意。複雑な市場に対して絶対成功の法則はありません。失敗するのものは早く失敗させて、経営リソースの損失を押さえる、これしか無いのです。私のサラリーマン時代に、「失敗の場合を考えるから失敗するんだ」という精神論だけのオバカ役員がいましたが。

  現在、業務参照モデルを適用して、何社かの「新製品開発プロセス」の構築中です。