私は20年前にはSI企業に所属していました。そして、絶対に絶対に赤字プロジェクトを作らないことをモットーに。

  なぜならば、一つの赤字プロジェクトの赤字は、4-5つのプロジェクトの黒字を全て消してしまうからです。したがって、絶対に赤字を出さないために、受注後のシステム分析工程の前半の要求分析を担当する者として、ITソリューションよりも業務知識を持った人間を集めました。

1.ユーザ企業の業務担当者は自分がやっている業務の意味が分からない!

  まさか!というところですが、それが実態です。日本的経営の特質として「終身雇用」と共に取り上げられるのは、「非明示な管理方式」です。ドキュメントがなく、先輩の背中を見て、後輩は仕事を覚えてきました。高度成長時代には、切れ目なく新入社員が入ってきたため、先輩の背中を見れました。しかし、成長が止まって新入社員が少なくなると、先輩の背中ははるか遠く見る事ができません。 

  連結売上が5,000億円の企業で、情報システム部員が業務部門の担当者に「なぜその業務をやっているのか、目的は何か」と尋ねると、「課長から言われたのでやっています」との回答。課長に質問すれば、きっと「前任者から引き継ぎました」と。

  また、ある重厚長大企業の子会社でITシステムの機能不足が問題になりました。たまたま、親会社に前のITシステムを構築した人間が居て、「おかしいな、それらの機能は既にある筈だ」となり、当該会社が業務ドキュメントを作ってないため、引き継がれていない事が判明。

  完成検査やMILシート偽装は、ITよりも遥かに大きい問題ですが、根っこは同じ「プロセスドキュメントが無い」。

2.SI企業の上流担当者は業務知識がない!

  一次元請けのSI企業は、促成栽培のため業務知識や経験が不足したまま要求分析を担当せざるを得ません。まさに、業務を分かっていないユーザ企業側担当者に対して、やはり業務知識が不足したSEが対応するという、笑い話のような構図が現状です。

  では、「きちんと要求を定義して下さい、そうしたらITソリューションを提案・導入します。」と言えば、一次元請けのSI企業の存在価値はゼロです。要求がモレなく正しく定義されていない状況では「要求分析」によって、要求をモレなく引き出して、そして価格交渉するのは、システム分析工程ならばまだ可能です。

  要求の引き出しを研修した際に、2次下請け企業のベテランSEが言いました。「自分の経験だけでも要求のモレに気づくことがあると。しかし、テスト段階でモメるまで絶対に言わない。言えば、その要求を増額なしにやらされるだけだから。」 

3.ユーザ企業とSI企業の双方に業務知識が無い場合の要求分析

  日本では米国と異なり、多くのIT人材がSI企業に所属しています。それらの人材を要求分析できるように育成しなければなりません。そうでないと、大手SI企業は社員に給料を払えなくなくなります。社員をクビにはできませんし。

  GUTSY-4ではこうした状況を鑑みて少々本末転倒ですが、ユーザ企業側のIT要求にモレや問題があることを前提に、業務参照モデルを利用した要求分析をクラウドサービス化しました。通常処理、代替処理、例外処理におけるIT要求のチェック技法です。⇒GUTSY-4要求分析IT化(設計)P01

  長い間のITシステム構築経験によって「個人の知」として獲得してきた業務知識、これを上記によって「組織の知」としても蓄積でき、今まで必要とされた育成年数を大幅に短縮できます。これが有効なことは、ETO品の顧客要求の引き出し質問の形式知化によって、売上を8倍に伸長させた事例Aで証明されています。

  SI企業よ、もっとITを自社で活用しましょう!