【序】現在のコロナ禍において在宅勤務が叫ばれていますが、日本は在宅勤務の準備はできていません

   ITmedia ビジネスオンライン2020年07月19日 には、「在宅勤務の生産性が、世界平均は13%なのに日本では40%という低さ」との記事が。

   この原因は超明瞭です。同記事では在宅勤務ができない理由として、51%が「同僚とのコミュニケーションに難」とは至極当然です。終身雇用を前提に社内用語集もなく、人と人との"密な"スリ合わせで仕事が成り立っているのに、無理やりに在宅勤務とは。では、在社時にコミュニケーションが正確かというと全く違います。それを密な擦り合わせで補っていたのです。   

   私のビジネスアナリシスアナリシス方法論GUTSY-4を適用した中小企業の今野製作所では、適用以前には「標準品」の意味が営業、設計、製造部門で各々異なっていました。

   大企業はさらにヒドイ。コンビナート死傷事件を起こしたMK社では、経営トップが「業務手順が誤っていた」と発言。広辞苑の定義とは異なる意味で。その10年後の品質偽装事件でもやはり用語の誤り。これでは、会長・社長の発言の真意は社員に伝わりません。売上2兆円のRC社では、会長の経団連での発言を各事業部長が膨大な忖度。用語の意味が曖昧だから、保険として忖度せざるを得ないのです。

本】コロナ禍以前に、我が国は失われた30年と言われていた

  前世紀「工業の時代」に、ジャパンアズナンバーワンと言われて、我が国は浮かれていました。終身雇用制度による滅私奉公、そして暗黙が通じて企業内のコミュニケーションコストが少なく、人・機械設備の効率的な稼働ができました。これが、工業の時代のCSF重要成功要因でした。

  今世紀「知識の時代」になると、日本は韓国・中国にもボロ負け。海外は標準化から統合化へ発展。このセイで個別最適のままの日本企業は、ことごとくERP導入に失敗する羽目に(その根本原因は未だ理解されない)。

  標準化と統合化はグローバルに発展し、これを踏まえたグローバル企業のCSFは、ノウハウ・知識そのものです。BtoCのアマゾンでは、顧客を分類プロファイルしてそれぞれに有効な画面に変えるというプラクティス(=うまい仕事のテクニック)、有形資産と違ってタダいくら使ってもタダ(むしろ増価する)無形資産が24時間中、地球規模で稼働しています。BtoBの米国3M社は、2000年に研究開発のプラクティスを開発し、全世界の研究開発部門で共有。一方、日本企業は研究開発費を以前のまま使っても、「新製品が出てこない」。

  日本は、製造コストを下げるため海外生産が進んで、新入社員は先輩の背中は遠くにしか見えず、用語集や標準プロセスもないため、一人前になるのに、膨大なムダな時間を要しています。これが、一人当たりの付加価値生産性は米国の1/2しかない理由です。20世紀の成功は21世紀の失敗へと直結。故野村監督曰く、「勝に不思議な勝あり、負けに不思議な負なし」。

【結】AIやデータサイエンスは、有効なプラクティスを生み出すためのITツールに過ぎません。この前提は、標準プロセス

  欧米企業もコロナ渦に見舞われている今、日本企業は今が挽回のチャンスです。企業の役員は、もうすぐ退任だからと考えないで下さい。

  私が支援している1部上場の製造企業のデータサイエンス室が先ず行ったのは、研究開発のプロセス標準化です。なぜならば、標準プロセスが存在しないため、データサイエンスに使える有効データが1件もないからです。データが蓄積されれば、インフォマティクスとか各種の分析手法が適用可能であり、そこから導いたプラクティスを標準プロセスの上にただ搭載すればいいだけ。世界では、製品設計はこうした手法を適用し試作品を製作しない時代。

 10数年前にエレベータ製造販売会社。私とは別の大会議室では、大勢の人間が喧々諤々とシミュレーションを議論。私はそれを横目で見ながら、彼らはそれに必要なパラーメータの入手・伝達のためのプロセスを考えていないのではと懸念。案の上、シミュレーションソフトが開発されても、誰も使いません、私の懸念どうり使えないのです。パラメータ値が天から降ってくる訳ではないので、まさにムダムダIT投資。IT企業はまず自社で取り組むべき。AIやデータサイエンスも同様。