ビジネスマンは、人生の1/3の時間を自分の職業、ビジネスに費やしています。では、自らのビジネススキル、特に業務スキルを向上させるために、所属している企業の社内教育に期待すべきでしょうか? それはダメ。自分の一度しかない人生を会社の都合に大きく左右されてしまいます。では、仕事を疎かにして長時間かけて勉強するのかーこれはダメ、職業に対しても、人生に対しても無責任。

  有限な人生において、ビジネスの勉強をするために、家族との時間を疎かにしてはなりません。結論は、自分なりの仮説を持って、書籍を効率的に読むこと他人の話を効果的に聴くとです。私は仕事先で、日本ホテルの総支配人をされ、53歳で米国コーネル大学MBAに私費留学した方から、冒頭の「人生3分の法」のレクチャーを受けた。プロジェクト報告で総支配人室を訪問する都度。

1.仮説を持つこと

  個人の場合は、スキルを基にうすく広い「仮説を持つ」こと。うすく広くとは、MECE(モレず重複せず)という事。実経験だけでは、到底に不足。

  組織の場合は、自社・自組織用の「プロセス参照モデル」を開発し共有すること、これによって発生した問題・課題に対して、組織的に仮説づくりができます。良い仮説がないと、囲碁で言う「ヘボの考え、休むに似たり」という結果になってしまいます。

  たとえ、標準プロセスであっても、それにうまいやり方プラクティスを開発・搭載して、この仮説を進化させていけば勝てるのです。第二次世界大戦では、操縦性や性能が劣る標準化されたグラマンでも、作戦プラクティスを進化させたら高性能のゼロ戦に勝てた、という歴史がこれを証明。

  プラクティスの開発は、何もAIやアナリティクスだけではありません。仕事ができるベテランの暗黙知もあります。経営陣向けには、海外のエクセレントカンパニーがやっている、新製品開発の各フェーズにおけるゲートウェイ審査等の経営判断のもあります。こうしたプラクティスを共有するのが、21世紀「知識の時代」の組織戦の経営。1990年までの「工業の時代」の個人の白兵戦とは違って。

2.仮説を利用して考え実行すること  

  個人の場合は、どうでしょう? 私が手掛けた今野製作所の社長は、仮説として「プロセス参照モデル」を知って、他の社長との話の聞き方が全く変わったと言います。相手は「プロセス参照モデル」上でココの話をしている。では、隣接プロセスのアソコはどうなんだろうと、仮説を持った上で他人の話を聞き、その仮説からより深い理解ができる訳です。

  管理職ならばこうした仮説なしに、いくら読書を何百冊しようが、沢山の講演を聞こうが、前述した「ヘボの考え、休むに似たり」。むしろ読む本の数を減らして、家族との時間を大事にし、たとえ少なくとも読んだ内容をうまく応用すべき。 

  組織の場合は、仮説に対する個人の考えや経験=個人知、これから開発した自社用「プロセス参照モデル」を通じて、組織全体の経験として共有・発展させた=組織知にするのです。21世紀「知識の時代」において、20世紀「工業の時代」と同じやり方の白兵戦では到底ダメ。なぜ、日本は1時間当たりの生産性が低いのか。その失われた30年の根本原因を究明せずに、DX、DX、DXは、これも「神風が吹く」と同じ!!

  以上が、私が住友理工殿の研究開発本部のデータサイエンス室に、データサイエンスツールではなく、研究開発プロセスの標準化を提案した理由です。3年間でほぼ本部全体のプロセス標準化が終わって、本年からいよいよプラクティスの開発に入ります。今度は、データサイエンスも視野に入れ。

  DXでは、先ずはプロセス標準化をすべき。これは、スポーツでいう「走り込み」でしょうか。体力がないのに高価なスポーツ道具を買うのは、お金のムダ。えっ、会社のお金を使って自己満足したいのか、それはご勝手に!